出版社内容情報
車いすテニス選手の宝良と、親友で車いすメーカーで働く百花。頂点を目指す宝良だが、絶対女王・七條玲が君臨し……青春小説!
内容説明
東京パラリンピックまで、あと数ヶ月。車いすテニス選手の宝良は女子の代表候補として注目を集めるが、昨年末から不調が続き苦しんでいた。勝利を掴むため、宝良は親友の百花が働くメーカーの競技用車いすを採用。夢に向かい努力する百花や小学生みちるとの交流を経て、競技への思いを強くする宝良。そして、世界の強豪選手が勢揃いするアジア最高峰の大会ジャパンオープンの幕が上がる―!感動の青春スポーツ小説!
著者等紹介
阿部暁子[アベアキコ]
岩手県出身。2008年『いつまでも』(刊行時『屋上ボーイズ』に改題)で第17回ロマン大賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
242
前作は百花視点で、今回は宝良視点。クールで気も強く、会話とか不器用というか…、でもひとつの事にのめり込む宝良って、アスリートなんだなあと思う。こういう人は強くなるよね。百花とはホントにいいコンビ。馴れあいのない真の親友だと思う。(ただ百花の宝良が大好きの気持ちがすごすぎる)車いすテニスの試合の臨場感があり迫力を感じ、実際に試合を観にいった感覚に陥った。宝良、どんどん強くなって、いつか百花の作った宝良専用の車いすで試合してほしいね。百花に宝良!2人とも頑張れとエールを送りたい。2020/06/19
さてさて
205
『私は、車いすテニスプレイヤーとして生きる』という思いの先に、世界を転戦しながら数多の試合に臨んでいく宝良の姿を描くこの作品。そこには、百花との約束の先に『車いすテニスプレイヤー』として生きることを選んだ宝良の人生をかけた物語が描かれていました。『障がい者』と『パラスポーツ』の存在に目を向けさせてくれるこの作品。”スポーツ小説”として『車いすテニス』の試合の描写に圧巻の読み味を提供してくれるこの作品。『車いす』に込めるそれぞれの想いを感じる物語。胸を熱くさせられる瞬間が何度も押し寄せる傑作だと思いました。2025/04/18
海猫
188
〈Side 百花〉から続く、〈Side 宝良〉はスポーツ小説としての面白さが本格的になった。スランプに陥っていたり、車いすの改良したり、コーチの交代があったり、車いすテニスをするにしても様々な過程がある。〈Side 百花〉ではクールに思えた宝良が苦悩し、自分自身と戦っているのが見えてくるのには作品の厚みを感じた。後半、大会が始まってからの臨場感が素晴らしい。特に一章分まるまる使い描写される世界ランク1位の女王・七條玲との試合は息詰まる迫力。手に汗握る。総じて真っ直ぐな力強い小説で、爽やかな読後感があった。2020/06/29
みっちゃん
158
視点を宝良に移してのこちらのsideはさらに読みごたえがあった。終盤のジャパンカップの準決勝の描写は臨場感に溢れていた。「たーちゃん、がんばれ‼️」強い絆で結ばれたひとの大音声の声援が彼女を生き返らせる。試合の結果を安易に終わらせないところも良い。自分を支えてくれるひとたちの笑顔を「見たい自分」の為に。誇りを持って生きたい自分の為に。戦え。どこまでも進んでいけ。「強いって、悩まないことでも、傷つかないことでもないんだと思う。それは、何度でも自分の弱さから立ち上がるってことなんだと思う」忘れたくない言葉だ。2021/01/07
おしゃべりメガネ
125
車いすユーザーが車いすテニスでパラリンピックを目指す話。前作『side百花』から主人公が「宝良」目線に変わり、ひたすらストイックに車いすテニスにうちこんでいる描写が続きます。テニスシーンは臨場感あふれ、迫力満点で手に汗握りながら読んでました。車いすユーザーさんのために車いす製作の方がそこまで、これまたストイックだとは思わず、ひたすら感嘆するばかりでした。二人の主人公のキャラも抜群ですが、周りを支えるサブキャラの設定も秀逸です。2冊セットの構成ですが時系列的に『side百花』から読むコトをオススメします。2024/04/14