出版社内容情報
災害時の対応や子育て、健康への影響、そして大規模修繕への備えなど、
多角的な視点から、住まいとしてのタワーマンションを検証。
果たして人間の住み家としてふさわしいのか? 不都合な真実を暴く。
内容説明
日本では、二〇〇〇年以降、タワーマンションが乱立する状態になっている。空き家が急増する中、これ以上、大量に住宅を供給する必要はあるのか?またマンションには欠かせない大規模修繕も、タワマンは多額の費用がかかり、破綻の兆しを見せている。この道三〇年以上になる住宅ジャーナリストが、住環境、健康、子どもの育ちへの影響など多角的な視点から、住まいとしてのタワマンを徹底検証。あらゆる点から、いま、タワマンは「限界」にきている―。その不都合な真実を明らかにする!
目次
序章 タワーマンションが大好きな日本人
第1章 迷惑施設化するタワーマンション
第2章 タワーマンション大規模修繕時代
第3章 災害に弱いタワーマンション
第4章 タワーマンションで子育てをするリスク
終章 それでもタワーマンションに住みますか?
著者等紹介
榊淳司[サカキアツシ]
住宅ジャーナリスト。1962年、京都府生まれ。同志社大学法学部および慶應義塾大学文学部卒業。1980年代後半から三〇年以上、マンションの広告・販売戦略立案に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mazda
25
近い将来、処分に困るどうしようもないお荷物を、私たちは背負うことになるのかもしれません。高層階に住むほど健康被害や成績の低下が見られる、という研究結果もあるようですが、さらに高所平気症という、高いところを怖がらない子供が増えるともいわれているようです。大規模修繕の費用も高く、さらには住民が多すぎて、意見集約や合意形成が容易でないことも問題です。住宅はいずれ老朽化し、最後には取り壊しになるのですが、果たして地上数百メートルの建物を、どうやって取り壊せるのでしょうか?文字通り限界かも知れません。2020/01/27
りょうみや
20
著者の本は多分3冊目。これでもかというくらいのタワーマンションの否定本。ゼネコンも自治体も今儲かるからタワーマンションを建てるだけで、修繕計画や長期的な地域への影響や展望はまったくない。著者は元業界人なのでこの辺の裏事情や、震災時のマンションへの影響は説得力がある。住人の健康や子育てについてもおそらくだいたい正しいのだと思う。高層階の子供が外にでる頻度が減る影響は大きい。2020/11/25
hk
19
「今だけ、カネだけ、自分だけ」とは21世紀に入り世界を席巻している新自由主義を揶揄するフレーズだ。本書はこれまた21世紀に入り日本を席巻しているタワーマンションが、新自由主義の申し子であることを縷々述べていく。本書はマンションのイロハから噛んで含めるように解説してくれており、すこぶる好感がもてる。オイラのような「マンションの管理組合?」「容積率?」「武蔵小杉って?」というズブの素人にこそお薦めの一冊だ。タワーマンションはもとより、マンション全般の基礎知識が身につくこと請け合いだよん♪2020/01/30
Tomomi Yazaki
18
何というタイミングの発刊! 武蔵小杉のタワマンが台風による浸水で地下の電気設備がやられ、ポンプが動かずトイレ禁止どころかエレベーターが動かないから毎日登山。交通の便は良いが、人口集中で改札から電車に乗るまで30分。それなら30分遠い一戸建ての方が良い。維持費もさることながら、15年毎の大規模改修工事費用は莫大で、2回目は皆年金生活のため払いきれない。それ故、30年後は次々転居し廃墟と化す。作れば売れるからゼネコンは作り続けるが、この事実を今の日本政府はどう捉えるのか。おそらく、何も考えていない。2019/11/08
mazda
14
近隣にタワーマンションができて久しいですが、慣れてしまうとこんなものなのか、と思いながらも、やはり異様な雰囲気です。大規模修繕に二桁億円かかると言われても、購入の段階ではその眺望や存在感に蹴散らされて、現実世界のことには目がいかないのも無理はないと思います。修繕も1回では終わらず、その後の修繕のたびに費用が余計にかかるうえに資産価値が落ちていくという現実を目の前にしたときに、幸いにも売却先が見つかればいいのですが、そういかなかったときどうするのかと余計な心配をしてしまいます。2021/05/23