集英社新書<br> 十五歳の戦争―陸軍幼年学校「最後の生徒」

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集英社新書
十五歳の戦争―陸軍幼年学校「最後の生徒」

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  • サイズ 新書判/ページ数 256p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784087208955
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0223

出版社内容情報

昭和20年、エリート将校養成機関「東京陸軍幼年学校」で体験した、短くも濃密な4か月半。少年の目に映った「天皇の軍隊」の現実とは? 著者が書き下ろした、初の自伝的ノンフィクション。

内容説明

昭和二十年四月一日。少年・矢島喜八郎、のちの作家・西村京太郎は、エリート将校養成機関「東京陸軍幼年学校」に入学した。八月十五日の敗戦までの、短くも濃密な四か月半。「天皇の軍隊」の実像に戸惑い、同級生の遺体を燃やしながら死生観を培い、「本土決戦で楯となれ」という命令に覚悟を決めた―。戦時下の少年は何を見て、何を悟ったのか。そして、最後の混乱をどのように生き抜いて作家となったのか。本書は、自身の来歴について、著者が初めて書き下ろした自伝的ノンフィクション。いまこそ傾聴したい、戦中派の貴重な証言である。

目次

第1章 十五歳の戦争(世界大恐慌の時に生れた;東京陸軍幼年学校の日々)
第2章 私の戦後―特に昭和二十年(前半は戦争、後半は平和だった時代)(戦後はゼロから始まったというのは、嘘である;憲法改正問題;日本全体が飢餓状態;戦後を生き抜く―作家になるまでの紆余曲折)
第3章 日本人は戦争に向いていない(日本の軍人には、現代戦がわからなかった;現代戦に向かない性格と国民性;なぜ、日本の軍人は、死を生の上に置くのか;国の義務は兵士を見捨てないことであり、兵士の義務は国を見捨てないことである)

著者等紹介

西村京太郎[ニシムラキョウタロウ]
1930年東京生まれ。作家。63年、『歪んだ朝』でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。65年、『天使の傷痕』で江戸川乱歩賞、81年、『終着駅殺人事件』で日本推理作家協会賞受賞。十津川警部を主人公にした一連のミステリーは根強い人気シリーズとなる。2005年日本ミステリー文学大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kinkin

95
ミステリー作家西村京太郎氏が体験した戦争について描かれている。戦争のことを語るということは戦争を体験したものでないと書けないと思う。過去の戦争について過ちや反省という言葉が使われるがそれは体験していないから使えるのかもしれない。鴻上尚史の本で読んだ特攻の方もいろんな体験をしたにも関わらず当時のことをあまり語ろうとしなかったという。戦争に対して饒舌に語れば語るほど無責任かもしれない。個人がとにかく戦争という愚かな行為を考えることがいちばん大切だと感じた。2018/01/14

あすなろ

75
昭和20年、私は陸軍幼年学校にいた。陸軍幼年学校とは?という点から手にした本。陸軍幼年学校卒は、自ら陸軍エリートを意識し、昭和維新中核を意識したという。結論から言うと、もっとここを書き込んで頂きたかった。少し焦点散漫な西村京太郎二次大戦論。しかし、桶狭間の戦を好む陸軍・戦闘機を二種持った陸軍と海軍・国内戦と国際戦の意識相違・日本の軍人は死を生の上に置く議論・永田鉄山の考え等興味深く読了。いろいろ書き連ねの集積本。総称して、西村論では、日本人は平和に向いているのである、と結んでいる。2017/09/03

Willie the Wildcat

64
淡々と語る半生に垣間見る大戦を挟んだ”変化”。衣食住に教育・仕事。踏まえた大戦への考察。『戦陣訓の罪』は、現代にも繋がる悪癖という感。物理・心理の両面での”縛り”。言うまでもなく、著者自身も戦前・戦中に感じた矛盾も呪縛下の話。一方、著者出世作にも繋がる”ブルトレ”の件は、”縛り”への対照であり皮肉と解釈。先人の残す様々な形での教訓を、もれなく活かしていくのは当然の義務ですね。2017/09/29

rico

39
西村京太郎さんと言えば鉄道ミステリーのイメージだけど、陸軍士官学校出身だったんですね。士官学校時代の話はわりと短くて戦後の記述が長め。最前線に出る前に終戦を迎えたこともあって、戦いの悲惨さよりも、軍人や教師、政治家たちに対する批判的考察が中心。少し物足りない感じもするけど、あの戦争について直接語り得る最後の世代の意地を感じる。それにしても、権力者が責任をとらないとか、精神論が跋扈して冷静な分析ができないとか、忖度で事が動くとか・・・この国は情けないぐらい変わっていない。2018/08/16

slider129

38
先の大戦をテーマにした本は数多くあるが、史実を知識として受け取る事は出来ても、当時を生きた人が経験したであろう、時代が持っていた空気や当時の感情まではなかなか伝えてくれない。あの時代、亡き父は南方へ出征していたが当時のことは黙して語らず、また亡き母は疎開していたので都会の空襲の地獄は経験していない。そんな戦争経験者がこの数年でいなくなるであろう今の時代に、語る事が出来る語り部の言葉や、文章で残す事が出来る西村氏のような作家が書き残してくれる本書のような存在がとても貴重に感じる。いい本を書いて下さった。 2017/08/31

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