出版社内容情報
朝日新聞×集英社が仕掛ける連続講座第3弾。姜尚中と一色清を中心に、佐藤優、上昌広、堤未果、宮台真司、大澤真幸、上野千鶴子という日本最高の知性が、日本の「これからの10年」を大胆予測する!
内容説明
いずれ劣らぬ論客たちが、この先10年に日本が直面するさまざまな課題を明らかにする講義録。反知性主義、医療問題、グローバル化、教育問題、超高齢化、格差社会、ナショナリズム…国家の有り様を根幹から揺るがしかねない重要なテーマについて、それぞれの知見を駆使して大胆に予測。「劣化」しつつあるという日本の未来に、リアルにして斬新な処方箋を提示する。朝日新聞社と集英社の協力による連続講座「本と新聞の大学」第3期の書籍化。
目次
第1回 基調講義 一色清×姜尚中
第2回 反知性主義との戦い 佐藤優
第3回 高齢化社会と日本の医療 上昌広
第4回 沈みゆく大国アメリカと、日本の未来 堤未果
第5回 一〇年後の日本、感情の劣化がとまらない 宮台真司
第6回 戦後日本のナショナリズムと東京オリンピック 大澤真幸
第7回 二〇二五年の介護:おひとりさま時代の老い方・死に方 上野千鶴子
第8回 総括講義 一色清×姜尚中
著者等紹介
一色清[イッシキキヨシ]
朝日新聞社教育コーディネーター
姜尚中[カンサンジュン]
政治学者。東京大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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fu
23
特に印象に残ったのは、上野千鶴子氏の老後問題、上昌広氏の医療問題。上氏によると、医療提供者の数(医者・看護師ともに)は東低西高。明治維新で維新組は西日本に、旧幕府側が東日本に多かった都合で、旧制高等学校が西に集中、そのまま大学も西日本に多い、医者は大学の傍で開院する傾向有。上野氏は「在宅ひとり死」が可能かどうか模索中。現在の高齢者がストックを再フロー化してリバースモゲージ等活用すれば可能。ただし団塊ジュニアの老後は悲惨すぎて考えられない、とのこと。つまり自分の老後を乗り切ることしか考えてないってこと?2015/10/12
たらお
16
堤未果さんの名前で表紙買いした本。堤さんは、沈みゆく大国アメリカのその後について、医療産業複合体によって骨抜きになったオバマケアの悲惨さが分かる・・・こんな国になっちゃあいけないと理解できる。国民皆保険が民間保険会社への強制加入になったことで、保険会社や製薬会社が儲かり、オバマケア指定病院が少ないことから結局は貧困層の国民は医療を受けられず蔑ろにされる。オバマが民衆のため志高く取り組んだ結果も、やはり1%の金持ちが儲かる仕組みに誘導され、変われないアメリカを強く印象づける。大統領選、どうなるか注目ですね。2016/03/01
Nobu A
14
「本と新聞の大学」シリーズ第2巻読了。15年刊行。先日読了の前巻が14年出版。1年縮まった。本書の良さは手に取らなければ読むことのない筆者に出会えること。8名中6名は著者の著作を既に読んで馴染みの方。初読の上昌広の「高齢化社会と日本の医療」が興味深い。また、前巻に引き続き登場の一色清の論考も筋が通って読み易い筆致。元々宮台真司の著作を読みたく選書。しかし、固有名詞やカタカナ英語含む名詞が夥しい数頻出。例えば、人にインストールってどう言う意味で使っているのだろうか。堤未果も相変わらずの煽り文章。2024/03/11
めっし
12
良著。堤未果氏や佐藤優氏からいつも勉強させてもらっているが、今回特にインパクトがあったのは上昌広氏の医療格差の構造とこれからの医療だった。本書を通して未来の社会の形を真剣にシミュレーションすることがいかに知性的なことか学んだ。身につけた知を未来のためにアウトプットする作法を学んだ。2015/12/20
tolucky1962
10
佐藤:反知性。原因は教養なきエリートの弱体化。米大学は教養中心。思考力に読書。上:高齢化医療。団塊世代で医療者不足と地域格差。医学部偏在と長期的人材育成を訴える。堤:米国。格差、保険、政治不信。軍需や保険等大企業献金で政治を動かす。日本の将来問う。宮台:感情劣化。絆も自分が助かる道具。感情の政治で民主主義機能不全。保守~感情教育解説。大澤:五輪。若者満足感は希望のなさによる。様々な理想がある多元主義、その理想も不可能の時代。上野:介護。少子高齢化で特養待機者急増。訪問介護による自宅での最期を提案・実践。2016/08/05