出版社内容情報
19?20世紀のイギリスで爆発的な人気を誇り『吾輩は猫である』に登場する絵葉書の挿絵画家でもあった、ルイス・ウェイン。日本では殆ど目にすることのできない貴重なイラストと共に彼の半生を辿る。
内容説明
19世紀末から20世紀末にかけてイギリスで爆発的な人気を誇った挿絵画家、ルイス・ウェイン。そのウェイン、実は『吾輩は猫である』の一節に登場する絵葉書を描き、夏目漱石にインスピレーションを与えた、日本人にも深いゆかりのある人物でもあった!コミカルなタッチからリアルな描写、あるいは擬人化したイラストで時には人間社会を風刺し、表情豊かで個性的な猫を数多く描きながら、晩年は統合失調症を患ったことでその画風も劇的に変化した「猫画家」。その半生を、日本ではほとんど目にすることのできなかった貴重なイラスト多数とともに辿る。
目次
1 キャットランドの猫絵描き
2 ナショナル・キャット・クラブ
3 アメリカ行きと第一次世界大戦
4 万華鏡猫
著者等紹介
南條竹則[ナンジョウタケノリ]
1958年東京生まれ。作家。東京大学大学院英語英文学修士課程修了。学習院大学講師。『酒仙』(新潮社)で第5回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
92
猫ばかりの絵の本です。その絵を書いた作家のある意味伝記ですが、それよりもその作品がカラフルでしかも人間を擬画したような感じで見ているだけでも楽しめました。ゴルフをしたり、テニスをしたり楽器を弾いたりと人間社会を本当に皮肉っている感じがありありです。2015/09/19
だいだい(橙)
27
猫好きではないが、ウェインという画家の人生に惹かれて借りた。夏目漱石の「吾輩は猫である」の中に、ウェインの手になると思われる猫の絵葉書が出てくる。漱石がロンドン留学時に手にした可能性が大いにあるとのこと。1800年代後半は印刷技術が進み、版画の時代が終わり、イラスト的な絵が新聞に載った。それまで犬派が幅を利かせていた英国において猫の絵を描くことで人気を博し、ナショナル・キャット・クラブの会長まで務めたが、蓄財の才はなく、晩年は貧困と精神病の二重苦に。生涯、猫画家であり続けたウェイン。絵が多くて楽しい本。2021/09/11
くさてる
21
19世紀末から20世紀初頭にかけてイギリスで爆発的な人気を得たものの、時代の波に乗り遅れ経済的にもひっ迫し、やがて狂気に至った猫画家の伝記。カラー図版がたくさん掲載されているのが素晴らしいです。単純に可愛いとは言い難い(いや本当に。駄目な人はぜったい駄目だと思う)、でも、キッチュで独特な魅力がある猫たちの姿は、どれも人間臭くて個性があります。当時のイギリスの社会情勢を知ることも出来て、読みやすく面白い一冊でした。2015/07/13
ochatomo
17
ルイス・ウェイン氏は1860年生まれ、24歳の時10歳年上の妻と結婚するが3年後に乳癌で死別、療養中に飼った猫の絵から始まり、擬人化した絵で大人気を博す 映画「ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ」を観たが、原題が“The Electrical Life of Louis Wain”とあるように、猫成分少な目でよくわからなかった こちらは絵がたくさん掲載され、表紙絵は夏目漱石氏が実際持っていたらしい絵葉書で蒐集家の林丈二氏がロンドンで買い求めたそう 解説つきで見ると楽しさが増す 2015刊2023/02/01
めえめえ
12
年末にルイス·ウェインが主人公の映画を観ました。漱石にも影響を与えた擬人化された猫たち。キティちゃんのように可愛くはありませんが、当時のイギリスの世相を写していて面白いです。病気が重くなってからの絵は確かに怖いですが、53ページの「我らに与えられるものに」の猫たちは、殆ど擬人化されていなくて写実的で一番可愛かったです。2023/01/14