出版社内容情報
「緑」の日本地図をつくりあげる
日本では、日常生活の必要性と密接に結びついた森作りが、はるか昔から行われてきた。そうした都市林の成功例を訪ねて、北海道から沖縄まで日本列島を縦断。ドイツ文学者・池内紀のエッセイ。
内容説明
日本では近年、「ふれあい」「こころ」「癒し」等の、どこか空々しいキャッチフレーズとともに、次々に新しい森が生みだされている。しかし、こうした自然回復の営みは、はるか昔から、生活の必要性と、より密接に結びついた形で試みられていた。酒田の人々は、荒涼たる沿岸の砂地に、江戸時代半ばから南北四〇キロの松林を作り上げた。ユンカーに憧れた成り上がり華族とその末裔たちは、地元の水路事業を引き継ぎ、那須野が原の砂礫地を良林に変えた―。北海道から沖縄まで列島を縦断し、土と森と人間を信頼した森づくりの実例を訪ねた、ドイツ文学者・池内紀の新境地。
目次
甦りの森―北海道苫小牧
クロマツの森―山形県庄内
匠の森―岩手県気仙
鮭をよぶ森―新潟県村上
華族の森―栃木県那須野が原
王国の森―埼玉県深谷
カミの森―東京都明治神宮
博物館の森―富山県宮崎
祈りの森―静岡県沼津
青春の森―長野県松本
庭先の森―島根県広瀬
銅の森―愛媛県新居浜
綾の森―宮崎県綾町
やんばるの森―沖縄県北部
著者等紹介
池内紀[イケウチオサム]
1940年兵庫県姫路市生まれ。ドイツ文学者、エッセイスト・著書に『諷刺の文学』(亀井勝一郎賞)『海山のあいだ』(講談社エッセイ賞)、『ゲーテさんこんばんは』(桑原武夫学芸賞)など。訳書にゲーテ『ファウスト』(毎日出版文化賞)、『カフカ小説全集』(日本翻訳文化賞)など。旅のエッセイも多い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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