内容説明
六〇年の人生をパレスチナ難民として生きてきた女性は語る。「大勢の同胞を失った。でも新しい世代も大勢生まれた。私たちはあきらめない」。戦火にさらされ、理不尽な暴力に支配されながらも、人間としての誇りを失わずに生きている人々がいる。本書は、大マスコミが足を踏み入れない世界の「戦地」に単身潜入し、その地に生きる市井の人々の声を届けるべく活動してきた、ジャーナリスト集団の取材報告である。
目次
まえがき 見知らぬ人々の悲劇ではなく
序章 「閉ざされた声」を届けたい
第1章 チベット―人々の祈り
第2章 ビルマ(ミャンマー)―辺境から見る軍事政権
第3章 マーシャル諸島―蝕まれてゆく島で
第4章 ハイチ―聖地の村で
第5章 チェチェン―闘う女性たち
第6章 レバノン―境界線に生きる
第7章 パレスチナ・ガザ―封鎖下に生きる人々
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
37
日本ビジュアル・ジャーナリスト協会に所属するジャーナリスト6名が世界の「戦地」に生きる人々を取材した本。序章で、ジャーナリストの責任について「時代ははるかに複雑で危険になっている。そjこで状況がはらむ問題に対して深い理解と謙虚さをもち、その問題に押しつぶされる人権を守ろうとする姿勢をもち、それを伝えることを義務と考える」と記されていた。またジャーナリストの仕事とは「人々の知る権利に根ざすという認識が必要である。それは人々の、生命と健康と幸福とを守る権利に根ざす」この部分だけでも読む価値ありと感じた。2015/02/06
おおかみ
8
危険をものともせず「戦地」に向き合い、人権を蹂躙される市民の声を拾う。これぞジャーナリズムの王道である。あるいは偏向しているように映るかもしれないが、「少なくとも自分が取材テーマを選ぶ時に既に客観性も中立もないことに、私は自覚的でありたいと思います(17頁)」との記述からも分かるように、ジャーナリストたちの態度は非常に真摯である。写真の数が少ないのは残念。2010/10/22
まゆ
4
5年前に出された本だけど、それも今平和でものに溢れた日本にいては信じられないくらいの過酷な暮らしを強いられている人々が無数にいる。有名な紛争や事件は全く過去のものではない。知らなければならないテーマがたくさん見つかった。2015/12/12
プレイン
3
チベット、マーシャル諸島、チェチェンなどいずれも大国のエゴの犠牲になり民族、人間の尊厳を破り捨てられる。執筆者のジャーナリストたちの熱い思いが伝わってくる。2010/10/17
たまぎょ
2
暴力でものごと解決しようとする強引なやりかたの影には、必ず理不尽に虐げられる人たちがいる。そして複雑に絡み合う当事者たちの事情、心情は暴力では絶対に解けることはない。ということを改めて学ぶ。「戦争」を考えるときは組織どうしのケンカと見るより、そこで生きる一人一人の人間がどう感じるかを、想像するように心がけたいと思う。2010/10/10
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