集英社新書ヴィジュアル版
聖なる幻獣

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  • サイズ 新書判/ページ数 222p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784087205213
  • NDC分類 388
  • Cコード C0214

内容説明

メドゥーサ、キマイラ、キールティムカ、海獣マカラ、竜、一角獣、スフィンクス、ガルダ島、グリフィン等々、人間は、自然界に存在しないさまざまな寄妙な動物たち―幻獣を考え出してきました。それらはヨーロッパ、アジアにとどまらず、あらゆる地域の神話に登場し、現実の動物にも負けないほどのリアリティーを持っています。そして、その異様なもろもろのイメージには共通した要素があり、ある種の「聖性」を有し、人々に戦慄と畏敬の念を覚えさせます。本書は、この聖なる獣たちが人間文化の中にどのような棲家を見つけ、いかなる働きをしてきたのかを見ようとするものです。

目次

第1章 キールティムカの顔
第2章 海獣マカラ
第3章 トーラナという宇宙
第4章 蛇と竜
第5章 翼のある獣
第6章 一角獣
第7章 聖獣と神々

著者等紹介

立川武蔵[タチカワムサシ]
1942年、名古屋生まれ。国立民族学博物館名誉教授、愛知学院大学教授。名古屋大学大学院博士課程中退、ハーバード大学大学院にて博士号取得。専門は仏教学、インド学

大村次郷[オオムラツグサト]
1941年、旧満州、新京(現・長春)生まれ。写真家。多摩芸術学園写真科、青山学院大学卒業。写真家・濱谷浩に師事。オリエント、インド亜大陸、中国を中心にフォト・ルポルタージュを続ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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ホークス

39
2009年刊。著者は仏教学、インド学の研究者。インドを中心に、ユーラシアの様々な幻獣が混じりながら伝わった様子を概観する。写真が多くてきれい。インドの聖獣キールティムカ(ほまれの顔)は、「輪廻の輪」を咥えたライオン又は人の顔と、左右の手として表現される。ギリシア神話のメデューサの首(柱や盾の意匠)をルーツとし、後からライオンの図像が加わった。日本では神将像の腹、火鉢の脚、兜の目庇に見られ、鬼瓦にも影響した。他にも龍と蛇、ガルダ鳥やグリフィン、一角獣にも言及。カンボジアのアンコールは幻獣の一大集結地。2022/05/22

らむだ

3
豊富な写真資料と共に“聖なる幻獣”の魅力を伝える一冊。キールティムカのなんとも形容しがたい不思議で荘厳な顔は、ひとたび目の当たりにすれば脳裏にしっかりと焼き付く魅力が。2011/04/18

おおかみ

3
メドゥーサ、キマイラ、キールティムカといった異形の「幻獣」。本書は、アジアやヨーロッパの遺跡・建築物に見られるそれらをカメラで追い、共通点や源流を探る。幻獣が人々の暮らしにどのように関わってきたのかを明らかにすることで、幻獣の有する「聖性」とはどういうものなのか考察する。日本にも少なからず影響していることが分かって面白い。まだまだ研究途中である事柄も多いが、それは今後の著者の活躍に期待することにしよう。2010/01/12

in medio tutissimus ibis.

2
キールティムカと呼ばれるインドの幻獣は、シリアの獅子儀礼容器とギリシャのゴルゴーンを源流に持ち、後者の如く切妻屋根の三角空間の頂点に、その左右に配されるマカラや柱のシャールドゥーラとともに、建築物の守護獣として、またそうした一つの世界を守護する存在として神像や仏像の装飾として用いられ、あるいは前者の流れで輪廻の輪を口に咥える無常大鬼や馬頭観音として表される。自分の体を食べてしまったという縁起譚はエリュシクトーンを思わせ、タロットの運命の輪を回すスフィンクスとは兄弟であり、中国では饕餮文と同一視されたかも?2020/02/06

やんも

2
本書の半分を占めているのが、表紙の写真にもあるキールティムカやマカラといった、寺院や教会で見られるシンボリックな聖なる存在。ただの装飾品が魔除け程度にしか思っていなかったが、これがなかなか壮大なスケールの存在であると本書で初めて知った。特に口に何かを加えた恐ろしげな顔のキールティムカは、輪廻転生の世界の輪を口に加えて両手でがっちり抱えているらしい。マカラはその口から様々な生物を吐き出すことで創造する海の魔獣。鰐がその原型だが、どうにもバクに見える。意外に日本でバクと思われた絵は、実はマカラなのかも。2014/07/13

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