集英社新書<br> ガンジーの危険な平和憲法案

電子版価格
¥671
  • 電子版あり

集英社新書
ガンジーの危険な平和憲法案

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 新書判/ページ数 190p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784087205053
  • NDC分類 126.9
  • Cコード C0231

内容説明

その膨大な講話の中から、憲法にかかわる部分をまとめた『自由インドのためのガンジー的憲法案』が、六〇年前のインドで刊行されていた。しかし、建国の父とまで謳われた聖人の憲法案は、今日に至るまで黙殺されたままである。それは一体なぜなのか?その謎を解く鍵は、産業資本主義の生産方式とライフスタイル、および国民国家の存立根拠とは相容れない幻の憲法案を、もう一度精査することにある。日本国憲法第9条とはまったく異質なその戦争放棄思想は、金融資本主義が壊滅しつつある現在、異様なリアリティをもって我々に迫ってくる。

目次

第1章 最大のタブー(史上最大の非暴力勢力;議論の不在 ほか)
第2章 幻の憲法論の全貌(ガンジーの幻の憲法案との出会い;ガンジー憲法案はユートピアではない ほか)
第3章 起こったことと、起こらなかったこと(ガンジーの新憲法案は平和憲法だ;二種類の平和憲法 ほか)
補論 ガンジー思想の可能性(ガンジーの遺産;現代世界の市民社会 ほか)

著者等紹介

ラミス,C.ダグラス[ラミス,C.ダグラス][Lummis,Charles Douglas]
1936年、米国サンフランシスコ生まれ。政治学者。元津田塾大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ロビン

20
1947年に国民議会を中心に「近代国家」として当然のように軍隊を備えて独立したインドだが、ガンジーは非暴力の思想に基づいた独自の平和憲法案を持っていた、という内容の本。「私のような非暴力の極端な信者なら、軍隊を完全に解散することにする」と彼は話し、同時に「しかし、その道をたどるのは私しかいない。誰がついてくるのだろうか」とも話した。それは中央司令部のない、インド70万の村がそれぞれ独立した共和国になるというもので、上部組織はあるが助言のみで命令はしないという形態のものであった。ガンジーの偉大と孤独を想う。2019/11/12

perLod(ピリオド)🇷🇺🇨🇳🇮🇷🇿🇦🇵🇸🇾🇪🇸🇾🇱🇧🇨🇺

7
ガンジーが生前作成していた憲法草案について解説した本。しかし現在では黙殺されていて入手も簡単ではなかったとのこと。そしてガンジーについて「暴力を肯定している」という事実を無視した思い込みがあり、著者はそれを精神分析で言う「否認」だとしている。 ガンジーが非暴力不服従運動を行ってイギリスを追い出したという歴史的事実と、その後のインドが暴力を独占する「普通の国」になった事、さらにガンジーがそれに対して失望し参加しなかったことが書かれている。→続く2021/07/28

左手爆弾

5
ガンディーは単なる理想主義の人ではなかった。中央主権ではなく、現実に存在する村から自治・自立を考え、暴力を用いない方がむしろ一層よく国が治まると考えたのである。考えてみれば、人間が最も前向きに働くのは自分たちの居場所を自分たちで守る時である。中央政府を設置し、軍隊を解決手段とすることは実のところあっさり隷属へと転化してしまうことを意味する。そのような意味で小さな地域を小さな力で治めることは実のところ最も強い国家が組織されることなのかもしれない。ただ、ガンディーは何かを見落としている気がする。何だろう。2014/04/13

miho

3
インド建国の父とまで謳われ、その平和主義思想をインド人が世界に誇るガンジー。しかしそのインドで、ガンジー自身が60年前に提案した憲法案は今日に至るまで黙殺されている。その謎を解くべく読み進んでいく中で、国家とか法とか主権とか人権とか市民社会などについて改めて学び考える機会を与えられた。「別の物語」と言ってさらりとかわしているものの、現代の日本と自分に思いを馳せずにはいられない。丁寧に説明された言葉一つ一つや、淡々とした真面目な口調に紛れ込むユーモアはラミス先生の講義そのもの。(続)2010/06/08

_udoppi_

2
ガンジーの非暴力非服従思想の本質は、権力への徹底的な分析・洞察にある。誰も従わない権力を権力とは呼ばない。権力は支配者の暴力や権威などから生じるのではなく、統治にかかる被支配者の協力から発生するのであるから、支配権力の否定は支配体制への非協力が最も有効であり、暴力自体に人の考え方を変える力がない以上暴力闘争は手段として不適切ということになる。市民社会論としても面白かったのは、ガンジーが村を基礎とする自立を説き、「主権とは行動である」としたのに対比される、日本国憲法の壮大な人権規定と実際の行使との落差である2011/07/18

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/429323
  • ご注意事項