内容説明
扇子職人の浅草文扇堂主人が語り尽くす、江戸職人、庶民のセンス、発想、そして粋のスピリット。江戸の職人は円周率も知らないのに、なぜ文様を描けたのか。「見立て」「のぞき」、そして江戸流の「粋」とは。江戸と京都の職人の違い。江戸庶民の通な遊び。江戸のデザインの特徴等々、江戸職人、庶民文化の生き証人とも言うべき荒井修の膨大な知識を、案内人いとうせいこうがとことん引き出す。江戸のセンスが身につく一冊。
目次
第1章 江戸職人のデザイン(1)技法と技術(「のぞき」―どれだけ描かないか;空き地のつくり方 ほか)
第2章 江戸職人のデザイン(2)見立て(「見立て」という文化;玉三郎丈の扇子 ほか)
第3章 職人の発想(日本独特の形に描く;色でどう見せるか ほか)
第4章 デザインで遊ぶ(お年玉袋、祝儀袋の世界;会触れ ほか)
第5章 職人の美意識(今の徒弟制度;親方と弟子 ほか)
著者等紹介
荒井修[アライオサム]
1948年東京、浅草生まれ。日本大学芸術学部卒業。荒井文扇堂四代目社長。桑沢デザイン研究所講師
いとうせいこう[イトウセイコウ]
1961年東京生まれ。早稲田大学法学部卒業。出版社勤務を経て、活字、音楽、舞台、テレビなど、ジャンルを超えて表現活動を行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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T2y@
36
『品のいい粋』とは、小ざっぱりしている。小綺麗、小粋、などなど、やはり小さい事が大切。大きいのは野暮である。 いとうせいこうのナビゲートによる、扇子職人の小噺、小ネタ。多くは語らないが、知識と教養に溢れた了見がたくさん詰まっておりました。2019/11/26
ぽっぽママ
6
さしがねの使い方を初めて知った。扇子のデザインの話も面白かったし、一月から十二月までの誕生色も素敵。例えば二月は恋待蕾、ふきのとうが土からふわって顔をだした色。江戸の粋に対するこだわりや感性、無くなってほしくないなと思います。2015/02/19
けん
4
★2.52019/10/06
Norikko
3
小粋さとか洒落みたいのは、天性だけじゃなくて日々の勉強があってこそ。それと、さしがねの機能にびっくり。凄いわー。2016/07/18
みかりんご。
3
【図書館】江戸の扇子とセンスをかけたタイトルに惹かれた図書館本。扇子職人・荒井さんの語り口調で話が進むので読みやすい。「のぞき」と「見立て」は仕事でデザインを使わない私にも、とても良い参考になりました。ただ、最初は「粋なことをする人だな」と感心していたけれど、読み進むうちに「いかに自分が粋人でセンスがあり、洒落人か」ということを自慢しているように思えたのは、私の僻みなのかもしれない…。◆曲尺が欲しいっ。曲尺で紗綾形を書いてみたい。千社札もこの本の貼り方通りに貼ってみた~い。2014/10/01