内容説明
雌と雄があることで生物には想像以上に多様性が生じる仕組みが備わっている。ヒトを例にとると、一つの細胞には約三万の遺伝子があり、子どもが両親から受け継ぐ遺伝子の組み合わせの数は膨大である。さらに近年、細胞の個性を形成するのはゲノムの中の遺伝子だけでなく、遺伝子以外の部分が重要な役割を担っていることもわかってきた。このように分子細胞生物学や分子遺伝学、発生生物学の世界で今、どこまで研究が進み、何が明らかになってきたのかをiPS細胞やクローン技術など、最先端のトピックを織り交ぜながらわかりやすく解説する。
目次
第1章 個体は細胞の集合―細胞なくして個体なし
第2章 まったく異なる役割をもつ二種類の細胞―生き続けるか死ぬか、それが問題だ
第3章 細胞分裂の仕方にも二種類―そこで雌と雄に分かれる
第4章 すべてのもとは一つの細胞―一つが最後は六〇兆になってしまう
第5章 雌と雄は、どのようにして出来るのか―遺伝子と環境の絡み合いから
第6章 環境に左右される性―雌と雄が入替わることさえある
第7章 クローン動物―雌と雄がそろう必要を教えた
第8章 植物は植物―生殖細胞はなかなか出来ない
第9章 細胞分裂の制御―テロメアの存在が鍵?
第10章 細胞の死と個体の死―死は必然と言えるか
著者等紹介
三井恵津子[ミツイエツコ]
1956年お茶の水女子大学理学部化学科卒。東京大学大学院生物化学専攻、理学博士、理学部助手。ドイツ・マックスプランク研究所、アメリカ・ソーク研究所で研究の後、1971年から95年まで東京化学同人現代化学編集室勤務(編集記者、後に編集長)。サイエンスライター、武田計測先端知財団プログラムオフィサー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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