集英社新書
江戸の妖怪事件簿

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  • サイズ 新書判/ページ数 206p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784087203981
  • NDC分類 388.1
  • Cコード C0221

内容説明

江戸の幕が閉じて、たかだか一四〇年にしかならない。ところが、かつてのこの国には津々浦々、町にも村にも、いや野にも山にも水の中にも妖しきものどもが出没していた。それを嘲笑する者ももちろんいたが、そのような態度は少数派であった。人々は妖しき話を歓び、また恐怖した。そして現代からみれば滑稽なほど、さまざまな化物譚を熱心に書き残した。しかしこうした文書には、あながち一笑に付すことのできない、今の我われ日本人の心をも騒がせる不思議の魅力が満ち満ちている。

目次

1章 江戸時代は、妖怪でいっぱい!
2章 本木村化物騒動
3章 ゴシップとしての怪談
4章 狐の裁判
5章 妖怪のいる自然学
6章 アメリカから来た狐

著者等紹介

田中聡[タナカサトシ]
1962年、富山県生まれ。富山大学卒業。かつて『週刊プレイボーイ』に連載され、読者に圧倒的支持を受けた荒俣宏団長の「日本妖怪巡礼団」に参加。90年、東京の怪談話を採取、収録した『怪異東京戸板返し』で作家として独立。以後、『ハラノムシ、笑う』『怪物科学者の時代』、『妖怪と怨霊の日本史』(集英社新書)など、その特異な作風で活躍している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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白義

16
「幽霊なんているわけないさ、狸に化かされただけだよ」江戸時代には合理論の形をとってこのような言い方をすることがあったという。幽霊を超常の枠にはめる一方で狸や狐の妖怪変化は確かなリアルだった江戸時代。現代とは断絶したその自然観を豊富で愉快な妖怪事件簿からたどっていき、さらにそこから江戸という時代が持ち得た、科学も道徳も哲学も未分化で渾然一体とした独特のコスモロジーを明らかにしていく面白い一冊。個々の事件自体寝取り化物や展開が二転三転する狐憑き事件と読みやすく、江戸の人々の活気が蘇るかのような明快な紹介である2018/08/09

寝落ち6段

15
江戸時代の人々は、妖怪をどのように捉えていたのか。平安時代からは、憑いたり祟ったりすることで害を及ぼしてくる物理的に捕らえる事のできない物、祈祷で神仏を通じて祓うというものであった。それらが形骸化し、庶民が力をもつようになった江戸時代。市井の巷説が大量に記録される時代。江戸初期には、化け物はけだものという形で、物理的に対抗できる存在だった。祈祷よりも、刀や鉄砲、犬で対抗する。経るにつれ、妖怪がキャラクター化していく。幽霊よりも、狐狸に化かされる方が現実的と感じていたのが、現代との大きなギャップだ。2022/08/09

風竜胆

6
江戸時代は、妖怪に限らず、現代人の目から見れば、驚くようなことがたくさんある。正にワンダーランドだ。 2013/10/14

みさ

5
江戸時代の人々の思想に触れているかと思いましたが、話題になった事件簿を紹介することに重きを置いてます。 平安時代の生霊や生まれ変わりを信じることは理解できますが、江戸時代の「幽霊なんて存在するわけがない!さては狐の仕業だな」という感覚はつかみづらいです。 狐で裁かれた人物が裁かれたこともあるようですが、その記録は日本昔話のようなストーリーでした。 100年後、東スポのカッパ発見記事はどのように評価されるのでしょうか。2017/05/19

印度 洋一郎

3
江戸時代に記録された化物の関係する事件をひも解きながら、今とは違う妖怪と人間との関係を探っていく。昔の人があやかしを信じていたのは、無知蒙昧だったからというより、今の私達とは異なる価値観で世界を見ていたかららしい。知識人も、妖怪を天地の理(ことわり)の一種の発現として認知していた。収録された事件は、謎の魔獣と山村の庄屋との二十年に渡る攻防戦、町奉行所のお白州まで持ち込まれた狐憑き、黒船と共に入ってきたコレラ禍の背後に噂された「アメリカ人が放った魔物」など。どれもこれも映画やドラマにして欲しいぐらい面白い。2011/04/30

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