集英社新書
幽霊(ゴースト)のいる英国史

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  • サイズ 新書判/ページ数 252p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784087201963
  • NDC分類 233
  • Cコード C0222

内容説明

「幽霊付き」「出る」となれば、その不動産の価値まで上がるという、怖いもの好き、古いもの好きの英国人。英雄、裏切り者入り乱れ、権謀、スキャンダル渦巻く長い英国史には、ところどころに目印のように幽霊が立っている。一見おどろおどろしいそれらは、しかしよく見れば、声をあげない民衆の目に映った、別の姿の歴史を指し示している。そうした伝承の歴史に目を凝らし、今も残るゴースト伝説の地を訪ね歩いた、ユニークな読物・英国史。

目次

第1章 民族の英雄となったゴーストたち(ローマに立ち向かった女傑、ボアディケア;英雄復活願望の産物、アーサー王;聖者伝説とゴースト伝説;最後のアングロ・サクソン王;魔法使いになった海賊船長)
第2章 歴史を動かした女たち(愛されるゴーストとなったフランスの雌狼;ヴァージナルを奏でる流血のメアリー;処女王エリザベスの三つの顔;スコットランド女王、メアリーの死)
第3章 ゴースト伝説が伝える権力者の素顔(赤顔王ルーファス;碩学王の美名のもとに;聖者となった荒法師、トマス・ア・ベケット;マグナ・カルタとブラマー城の悲劇;信仰の擁護者の素顔)
第4章 華やかな歴史の陰に(エドワード四世の幼き後継者;最後のプランタジネット、マーガレット・ポール;野心の犠牲者;夫の不倫相手は女王陛下;いまだ戦いを続ける国王、チャールズ一世;議会政治の父から「国王弑逆者)

著者等紹介

石原孝哉[イシハラコウサイ]
1943年、山梨県生まれ。駒沢大学教授。駒沢大学大学院修了。77年~78年、2002年~03年、ケンブリッジ大学客員研究員
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

38
フレブラでも出てくる歴史上の登場人物に始めは興奮しましたが生臭いテュダー朝創立期に蒼褪めることになりました。そういえばシェイクスピアも「リチャード3世」や「ヘンリー7世」もテュダー朝擁護の作品だ!しかし、幽霊譚が敗者となった王族への庶民の経緯と勝者となった簒奪者への憤りからなったのは興味深いです。日本の「義経=チンギス・ハーン」説や「大阪の陣で死した筈の豊臣秀頼が琉球に逃げ墜ちていた」説の根幹とも重なりそう。そして幽霊の存在の有無についての言及も「いるときはいる、いない時はいない」派の私には中々です。2014/05/04

佐島楓

27
施政者に対する反発が幽霊伝説を生む、というところになるほどなぁと思った。それにしてもなんという血塗られた歴史なのだろう。おまけに王族は血縁関係が複雑に入り組んでいて難しい。イギリス史は一筋縄ではいかない。2014/04/16

Kouro-hou

14
死と陰謀論中心に進む裏道英国史本。英国にはゴーストがいろいろ出るそうで、死んだ後と若い頃の幽霊が別々の場所に出現する辺りは日本と死生観が違いそう。個人的にはリチャード3世の幽霊には遺体のあった駐車場に出て欲しかったです。最初の方こそブリテンがアングロサクソンがノルマンが、と被征服部族の将が幽霊化して称えられるという流れなんですが、同性愛者だったエドワード2世を拷問したのがバレないように先に角笛を肛門に突っ込んでその後焼けた鉄串刺して暗殺しましたの辺りから、アレなんか違う本になったぞ?と思ったのが印象的。2014/11/20

ハルバル

11
英国といえば幽霊、幽霊といえば英国。そんなゴースト大好き国民によって語り継がれてきた英国史に残る幽霊達の物語。というより英国で名のある人々はほとんど幽霊になっているといっても過言ではない。そして幽霊とは物言わぬ告発者であり民衆の代弁者であり素朴な民間伝承の主である。歴史は勝者が書くけれど伝承は民衆が紡ぎ出す。それは時には国王すら動かした。宗教こそ違うが日本の怨霊信仰や判官贔屓にも通じる部分があって興味深い。というより権力に翻弄される敗者に抱く民衆の思いは、どこの国も変わらないということなのかもしれない。2020/02/06

大泉宗一郎

10
幽霊を通して歴史を眺めようと言う、ちょっと毛色の変わった研究書。古くはローマ時代から十七世紀末まで、国家権力のもと、物言えぬ民衆の代弁を務める幽霊たちを取り上げている。英国史はまったくの無知なので、飲み込みづらい事件や人物などで多少混乱したけれど、王位がヘンリー八世からエリザベス女王に至るまでの一連の流れは非常にドラマティックで、王室のどろどろした人間関係も、某ミステリ作品のようで微笑ましかった。格式張った教科書ばかりでなく、こういう足掛かりみたいなものもたまにはいいんじゃないかな、とも思う。良い本でした2014/09/09

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