内容説明
数々のピアノ曲をつくり「ピアノの詩人」とよばれたショパン。しかし、「歌曲」はほとんど知られていない。その数は十九曲。一曲がほぼ二、三分ほどの小品である。わが国ではその楽譜すら出版されていない。歌詞はポーランド語、旋律にはポーランド民族音楽のリズムが随所に織り込まれている。愛した女性たちへの想い、列強に支配された祖国ポーランドへの、悲痛な苦悩と絶望と憧れなどが主題となり、興味深い。本書はショパンの生涯で、とりわけ注目すべき事件やエピソードと深く関わったと思われる十三曲をとりあげ、その知られざる素顔に迫る。楽譜収録。
目次
第1章 歌曲『願い』『彼女が好きなこと』
第2章 歌曲『消えろ!』『使者』『戦士』『悲しみの川』『許婚者』
第3章 歌曲『指輪』『いとしい人』『美しき若者』をめぐって
第4章 作品が明らかにするショパンの交友録
第5章 歌曲『二人の死』『孤独』とサンドの小説『ルクレチア・フロリアニ』が暗示する別れ
第6章 歌曲『メロディ』
著者等紹介
小坂裕子[コサカユウコ]
1952年神奈川県生まれ。東京芸術大学大学院音楽研究科音楽学専攻修士課程修了。ドイツ留学後、静岡大学、聖徳大学、常葉学園短期大学講師
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感想・レビュー
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新田新一
42
ショパンの音楽が好きでよく聞いているのですが、歌曲のことは知らなかったので読んでみました。ショパンの生涯を詳しく描きながら、歌曲が作られた背景が解説されており、ショパンと各々の歌の結びつきが分かるようになります。ショパンの生涯は決して楽なものではありませんでした。苦しい胸の内を歌曲に託すことで、救われたこともあったはずです。恋人のサンドと別れた後に作られた「孤独」の歌詞が切ないです。「幸せなのは愛しあうこと」と歌われ、その後に私には相手がいないと心境が語られます。異国での死を見通していたような作品です。→2025/06/18
ラー
2
ショパンの歌曲のCDを買ったことで、この本の存在を思い出して読んでみた。2024/09/28