集英社新書
江戸の恋―「粋」と「艶気」に生きる

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  • サイズ 新書判/ページ数 206p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784087201406
  • NDC分類 384.7
  • Cコード C0295

内容説明

江戸には恋があふれている。小説、音曲、芝居、浄瑠璃、浮世絵、黄表紙、洒落本…。そして、好色であることが誉れ高く、人が粋に通じ、人情にみちたこの時代の恋は、どこか淡く切なく、辛い覚悟を秘めている。初恋にはじまり、性愛、めおとに離縁、心中、男色、老いらくの恋までも、恋を入り口に江戸を、江戸を入り口に恋を自在に語る著者は、自らの体験や恋への想いを織り交ぜながら、いつしか読者を江戸文化の妙味、人生の深奥へと誘う。江戸学者が贈る艶気な新恋愛講座。

目次

1 恋の手本
2 初恋
3 恋文
4 恋人たちの場所
5 恋と性
6 心中
7 男色
8 めおと
9 離縁
10 りんきといさかい
11 老い・死・恋

著者等紹介

田中優子[タナカユウコ]
1952年横浜生まれ。法政大学大学院博士課程修了。同大学第一教養部教授(近世文学)。『江戸の想像力―18世紀のメディアと表徴』(ちくま学芸文庫)で芸術選奨文部大臣新人賞受賞。『江戸百夢―近世図像学の楽しみ』(朝日新聞社)で芸術選奨文部科学大臣賞、サントリー学芸賞受賞
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ミカママ

409
著者自らのあとがきで「恋を入り口に江戸を語り、江戸を入り口に恋を語った」という、年始にふさわしい一冊。首をかしげたくなる部分もあれど、おおむね恋や性に対する論理に寄り添うことができた。双方とも「そのもの」が目的ではないんだよね。『好色一代男』はぜひいい現代訳で読んでみたいが、残念ながら青空文庫では見つからず。2019/01/02

佐島楓

60
江戸の昔には恋愛や結婚観が今とはだいぶ異なっていたことがよくわかった。近世文学や歌舞伎などの伝統芸能に触れる場合、理解が深まるのでおすすめの本です。2016/09/15

ジョンノレン

52
元禄に代表される江戸時代の奔放で多様な色恋模様や結婚その他についてのクールな考え方や「世間」との関わりが、往時の読み物や歌舞伎・浄瑠璃などに加え、ご自身の体験も交えて、著者特有のさっぱりストレートな語り口で言いにくいこともズバズバ語られる。結婚は基本ビジネスライクで現在というか暫く前の恋愛の帰結としての結婚至上とはやや別物。「浮気」「艶気」とも同じ読みでこちらが恋愛感情でやや純粋系?心中物については結構実際の事件直後に脚本化・上演も。高校時代に授業で「道行き」について的外れな見解を述べたトラウマが蘇った。2024/05/02

エドワード

29
恋を入り口に江戸を語り、江戸を入り口に恋を語る。初恋、恋文、逢びき、心中、離縁、嫉妬、男色。好色とは、男女ともに、流行に敏感で教養があるという肯定的な形容であった、という指摘が興味深い。また結婚は圧倒的に家族間の経済的な結合で、そうした現実の対義語として、恋愛による男女の関係を浮気=艶気と呼び、結婚の際の持参金は離縁後も妻のものだったなど、女性の地位が近代以降と比べ相対的に高かったとの指摘も実に意外だ。歌舞伎や文楽、浮世絵や文学から覗う江戸の人々の心の裡、そこには驚くほど今に通ずる心の営みがある。2020/11/25

Willie the Wildcat

28
恋が対比軸。オープン、かつ人の本能として向き合う。香木や遊女の心意気などが粋。印象深いのが『無益委記』。現代に引き継ぐ、人類の永遠のテーマか・・・。ネットも携帯もなく、共学環境もない・・・。不便さ(?)が創造力と、寛容さを育んだのかもしれない。一方、夫婦別姓や持参金のあり方に垣間見る「家制度」と女性の立ち位置。著者の「浮気と実質」論が興味深い。それにしても、「爪はがし」はお互いの強い思いの表れとは言え、想像しただけで痛そう・・・。(汗)2014/03/25

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