出版社内容情報
怪異に隠された優しさを照らし出す風土幻想奇譚!!
――ここにある小話集は、山埜村の村民より聞いた話を、あらためて記録したものである。
ただし、真偽のほどは定かでない
郷土史家だった祖父が死んだ。
顔も知らない祖父に複雑な思いを抱いていた大学生の晶は、弟の雫と共に遺品を処分することに。
だが、雫が見付けた遺稿「巷説山埜風土夜話」をなぞるような不思議な事件に次々と巻き込まれ……。
水没した村から発見された骨が導く天狗伝説の真実「消えた墓標」、
深山に眠る“マンボウ"を探す「夏の記憶」
かんざしに導かれ故人の無念を晴らす「鬼の棲む家」
恐怖の影で晶を惑わす母への慕情「まれびとさん」
ここに、鵺の声に始まる神隠しの物語が一編入っている「月の水際」
真偽不明の伝承に隠された過去、あえて真実を覆い隠した祖父の真意とは――?
内容説明
郷土史家だった祖父が死んだ。顔も知らない祖父に複雑な思いを抱いていた大学生の晶は、弟の雫と共に遺品を処分することに。だが晶は、雫が見つけた遺稿「巷説山埜風土夜話」をなぞるような不思議な事件に次々と巻き込まれ…。水没した村から出土した骨、まれびとさんの足音、鵺の啼く汀。真偽不明の伝承に隠された過去、あえて真実を覆い隠した祖父の真意とは?
著者等紹介
長谷川夕[ハセガワユウ]
『亡霊』で2015年度ノベル大賞、準大賞受賞。受賞作を改題、改稿した『僕は君を殺せない』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
40
顔も知らない郷土史家だった祖父が死に複雑な思いを抱いていた大学生の晶が、弟の雫と共に遺品を処分するために向かったその家で小話集を見つける風土幻想奇譚。様々な人に出会うたびに自らが祖父と似ていることを痛感させられる晶。水没した村の天狗伝説の真実、深山に眠るマンボウ探し、かんざしから明らかになる故人の無念、六部塚の呪いの原因、灯篭流しで助けてくれた声など、事件を通して今まで知らなかった祖父を知るたびにその印象も変わっていって、様々な怪異に遭遇して窮地に陥る晶を助ける雫の不思議な能力がまた要所で効いていました。2021/05/27
イシカミハサミ
6
内容的には夏目友人帳。 亡くなった祖父。 会ったことはない。 積もる恨み。 遺品整理。 来る生前の知人。 知らされる人となり。 ラストは想像よりも 一般論的なエンドだった。2021/07/09
なぎ
4
絶縁状態だった祖父が残した遺稿を見つけた晶、その内容をなぞらえたような不思議な事件が起きて巻き込まれていく。民俗学が好きなので興味深い話ばかり。「まれびとさん」は終盤特に怖くて、逃げずに対話しようとした晶さんマジで勇者。隠したかった真実をこういった形で残していくのは素敵だなと思いました。晶のお祖父さんは不器用で不幸にもタイミングが悪かったのだろ。あの世との境で晶を引き止めたのにはジーンときました。全てを受け入れられなくても少しずつお祖父さんと向き合ってほしいです。晶と雫のブラコンっぷりにニマニマしました。2021/05/12
砂ちゃん
3
怪談になぞらえた事件を解決してゆく話かと思ったら、かっつりホラーになった(泣くぞ)。一段落はしてるけど、家が片付くまでは続けられませんか? 続いたら、怖くても読む。2021/07/11
栗山いなり
3
序盤はミステリ色が強いなって思ったけど終盤になるにつれてホラー色、伝奇色が強くなっていくのを感じた小説2021/05/05