出版社内容情報
19世紀末英国。ロンドン郊外で兄と貸本屋を営むサラは、兄の旧友と三人で出かけたピクニックで、世間を騒がせる事件の犠牲者らしき遺体を発見し…!? 名作小説が鍵を握る、ヴィクトリアン文学ミステリー!
内容説明
19世紀末、英国。兄アルフレッドとともに貸本屋“千夜一夜”を営むサラの毎日は、ささやかな謎に満ちている。消える蔵書票。店の片隅でひとり涙する少年。そして兄の旧友ヴィクターとともにでかけたピクニックで若い女性の遺体を発見したサラは、やがてロンドンを騒がせる連続殺人事件に深く関わることになり!?名作文学が鍵を握る、ヴィクトリアン・ミステリー!!
著者等紹介
久賀理世[クガリセ]
東京都出身。東京音楽大学器楽科、ピアノ演奏家コース卒業。『始まりの日は空へ落ちる』で2009年度ノベル大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ももたろう
70
とても読み応えがあって待ってた甲斐がありました!いろいろな本の話題で盛り上がっている所は楽しいのだけど…本ばかり読み、本の中だけにしか自由がないという事でもあるわけで…そんなサラが心配です。最後に兄妹の関係が明らかになったけど、狙われてる理由はそこにあるのかな?二人だけでしかいられない事でどんどん暗い方へ暗い方へ行ってしまいそうです。お日様みたいなヴィクターが二人を照らして明るい所へひっぱり出してくれるといいのだけれど…。最後の章、ライザが登場した所は一見穏やかな場面なのにすごい緊迫感でドキドキしました!2016/05/06
aquamarine
65
シリーズ二作目。19世紀のロンドンで貸本屋を営む兄妹に訪れる日常の謎ものという感じで、周りの人々との真摯で柔らかな関わりにうっかりほのぼの読み進めていましたが、そうだった、この二人ワケアリなのでした。最終話で彼らは連続殺人に関わり、物語はあれよあれよという間に血生臭い展開に。彼らの過去を示唆する部分も少し現れて、目の離せないことになってきました。特にラストの数ページにはちょっと驚かされました。ちょっとミステリのライト文芸レーベルですがしっかり読まされましたし、続きがとても気になります。2016/11/11
ううち
57
第2弾。19世紀のロンドンもの。貸本屋を営む兄妹のホンワカな謎解きモノなのですが、兄妹の置かれた状況を再認識。犬のお話のオチが可愛らしくて良かった。最後はなんだか意味深なサラの気持ちが…。ヴィクター頑張って!と応援したくなります。2017/01/27
ひめありす@灯れ松明の火
55
千夜一夜物語のヒロイン、シェヘラザードは命乞いの為に夜毎物語を語り続けた。死なない様に。生き延びられる為に。逃げてしまえばよかったのにね。わが身をとしてというヒロイシズムに浸りながら。物語のヒロイン達は時にそれが物語をより一層盛り立てると知っているからか、ドラマティックな方へと進んでいく。それがヒロインの素質だから。だから私もこのささやかな物語のヒロインとして何千何万と命乞いの言葉を口にしよう。この物語を閉じてしまわない様に。この関係を散らしてしまわぬ様に。兄様。兄様。私の兄様。私の愛しいたった一人の、男2016/10/29
よっち
55
アルフレッドとサラの兄妹が営む貸本屋《千夜一夜》で起こる消える蔵書票や店の片隅でひとり涙する少年の謎。さらにロンドンを騒がせる連続殺人事件に深く関わることになる第二弾。当時刊行されていた物語なども触れながら、前半は貸本屋で起こる謎を解いてゆく展開でしたが、後半は一転して緊迫感溢れる急展開で、そんな中で今回はヴィクターが肝心な場面で頑張ったと思ったのに、最後の最後で衝撃の事実が明らかになって、全て吹き飛ばされた気分です(苦笑)改めて見るとサブタイトルの意味は深いですね。これはどうなるのか次巻も楽しみです。2016/05/04