出版社内容情報
幕府の威信は低下し庶民が困窮する中、日本の海外への扉は徐々に開き始めていた。南方仁は、軽業師・濱碇定吉を手術した縁で、海外公演に旅立つ濱碇一座を見物に横浜へ向かう。そこで国際結婚をし、やはり海外に旅立つ野風と再会する仁。改めて診察した野風の病状は…そして披露宴の最後のダンスは…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こも 零細企業営業
24
腰椎ヘルニア手術費5両が500両で支払われた。粋だわ。。横浜でフランス人と結婚した野風は梅毒の末期の遊女達を保護してペニシリンを投与して慈善活動をしていたが、彼女も乳癌の転移が発見され余命が短いと分かる。その後は漢方医、三隅の陰謀でペニシリンの偽造問題でまた投獄されるが今回の対応は医者としての対応だった。そこでフランス皇帝から招待を受けた事により投獄生活は終わる。最後に歌舞伎役者、田之助の白粉の鉛中毒で脚の壊死の進行が凄く切断手術を行う。まだ20代前半なのに、、それでも義足を付けて役者としての再起を図る。2020/06/18
Norykid
20
かつて吉原一の花魁と謳われた野風太夫。乳癌の転移によりもはや手術は不可能。余命は僅か。それでも西洋人と結婚、診療所を開設し死病に罹った遊女たちの最期を看取る日々。「最近は空咳が多くなりんした…。」死の淵へ一歩一歩と近づく気配…。末期癌には手立てなし。野風の心には常に南方仁が。だが仁には婚約者の咲がいる。この世で仁と結ばれることは無い。野風の本心は仁にも伝わっているも、仁に出来ることは、西洋へ旅立つ野風を見送ることのみ。生きて再び相見えることはない。せめて安らかな最期を…。瞼に浮かぶのは結婚式でのドレス姿。2016/04/23
ミロリ
10
乳癌による生存率が2年で5割であることを告げられときの野風さんの反応が忘れられないです。悲観することなく反射的に命の長さに喜び、生きることや新しい世界を見ることに限りない希望を持つ幸福に満ちた野風さんが本当に美しかったです。そして坂本龍馬が暗殺されるであろう日も近づき南方先生も動き出します。南方先生は歴史を変えることはできるのか。田之助さんは鉛に侵され脚切断。切断の類いは苦手です。少々ゾッとしました。2017/06/01
ポチ
10
野風の結婚、田之助の切断手術、そして龍馬暗殺阻止に動き出した南方先生。 動乱の時代に突入していっているのですが…田之助ファンで田之助の手術を南方先生がしたとなっているのを目的で読み始めたので、凄く違和感がありました。南方先生が手術した事ではなく、龍馬暗殺阻止の前には田之助エピソードが薄く感じる事に。あそこまで壊死していたら仕方ない部分もありますが、再発しないように気にかけて欲しい。たまに田之助がいいように使われてるなあって思っちゃいます。面白いんですがね!野風が強くて、ただただ幸せになって欲しいです。2014/04/14
コリエル
7
野風、田之助、そして龍馬。仁先生の関わってきた人物たちにそれぞれの命運が訪れる。龍馬暗殺をなんとか防ごうというのがこの作品のクライマックスになるようだけど、まあダメなんだろうなあ…2017/11/21