内容説明
『入道の変』の解決のために瑠璃姫と一緒に活躍した鷹男の東宮が、即位して新しい帝となった。だが、浮気グセは相変わらずのようで(?)、熱心に手紙や使者を送ってくる。それなのに許嫁の高彬は煮えきらない態度で、まったく頼りにならない。とうとうキレた瑠璃姫は、出家するために縁の尼寺に駆け込むが、その夜、実家の三条邸が炎上した。瑠璃姫を恨む何者かが放火したらしいのだが。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
万葉語り
42
30年ぶりの再読。氷室冴子が亡くなっていたということを著者紹介を読んで知った。こんなにも心躍り、胸を締め付けられる作品はいまだかつてないのかもしれない。2017-122018/01/17
さてさて
32
実家に放火した犯人を追い求めていく瑠璃姫の活躍を鮮やかに描くこの作品。そこには、第1作以上に人の心の機微を色濃く描く物語の姿がありました。ドラマティックなまでに展開する物語に、氷室冴子さんの上手さを感じるこの作品。前作同様、歴史や古典の授業でモノクロに見えていた平安の世が、カラフルに色付けされて蘇るこの作品。“著者校しながらもラストでは泣けてしまって、我ながら恥ずかしかった思い出があります”と当時を振り返られる氷室冴子さん。そんな氷室さんの描かれた熱い物語に酔いに酔わされる時代を超えた傑作だと思いました。2025/09/23
かおりんご
28
小説。積んどく崩し。これ、好きだった。吉野の君との一件に、思わず涙がポロポロ出てしまいます。鷹男の帝のさりげない気遣いや、高彬の優しさにも心を動かされるけれど、やっぱり小さいときの出会いには負けてしまいますね。政権に翻弄され、出家しなければいけなかった悔しさ。瑠璃姫を奪われるかもしれないと嫉妬に狂う心。時代がたっても色褪せないお話です。吉野の君には生きていてほしい。2018/10/08
しゅわ
25
勝手に氷室冴子さん再読祭り!の第15弾は、ジャパネスクシリーズ最高傑作との呼び声も高いこちら。20年以上振りだというのに、その後の展開はもちろん、台詞までシッカリ覚えていた私。それでも、どこかでほんの少し何かが違っていたら…と思わずにはいられません。寺炎上の「五節の舞姫みたい」では、涙をこらえることができませんでした。そしてなんといってもラスト、雪の吉野が美しすぎて哀しいです。1巻では70%ぐらい鷹男派だったのに「ぼくで我慢しなよ」のひとことでコロっと高彬に寝返った当時の私です。2013/02/15
はなん
22
ん十年ぶりの再読)結婚しない!と叫んでいた理由である吉野の君の物語。瑠璃姫の無茶ぶりは変わらずに健在なのだがラスト。吉野の里の美しい雪景色の中にいる彼女の姿とその心内の想いがとても切なく涙を誘われる。同時にその描写が雪と氷の襲とよばれる衣装を思い浮かばせて…。一瞬その場を実際に見ているように景色が浮かぶ。高彬がまたいいのだ。単純なラブコメではないから惹かれるのだな、と思う。2014/07/08