内容説明
旧藩主、坂東家のお嬢様・薫子。訳あって、ただ今家出を決行中。紅髪桜の下で出会った謎の不良兼秀才少年・伊万里と意気投合したのもつかの間、早くも迫る坂東家の捜索隊!しだれ桜の咲き狂う城跡を、薫子を乗せた伊万里のバイクが走る。そして、紅髪桜の黒い幹が突然ふたりの眼の前に広がった瞬間、投げ出された不気味な世界。そこは黒い月が昇り、魑魅魍魎が蠢く、「虚」の世界だった。
感想・レビュー
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もりの
4
旧藩主のお嬢様、薫子は謎の少年、伊万里と意気投合して家出。坂東家に仕える者たちの手を逃れている途中、城跡に咲く桜の古木の下、異界へ引き込まれる。黒い月が昇り、不気味な城に住まうのは魑魅魍魎たち。そこは「虚」の世界だった。この作品、ジュニア向け小説として書かれたもの。なのでちょっと展開的に物足りない。けれど幻想ホラーの描写をさせれば圧倒的に上手い作家さんなので、そういうシーンは結構怖いです。今読むと、当時の十代向けに書かれた文体がちょっと古めかしいかな。日本の古典芸能をベースにした小説のようです。2016/08/01
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- 和書
- 建築画報 〈399〉