内容説明
ユリ・スカナの新女王となったネフィシカに幽閉されたカリエ。さらに女王はカリエの娘セーディラとエドを手に入れようとサルベーンを追手として遣わしていた。それを知ったカリエは、なんとか宮殿を脱出しようと女王の妹であるグラーシカに取引を持ちかける。その頃、グラーシカが不在のルトヴィア帝国では、皇帝ドーンの新たな施策に不満がつのり、激動の時代が訪れようとしていた―。
著者等紹介
須賀しのぶ[スガシノブ]
1972年11月7日生まれ。上智大学文学部史学科卒業。『惑星童話』で1994年上期コバルト読者大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まりもん
19
現在の状況からエド達と合流するためにカリエが出来ることとしてグラーシカとの面談。彼女は信頼出来るよね。でもルトヴィアに戻らないし姉の考えにもあまり反対しないようなのが不安だな。サルベーンがもしバンディーカを殺す依頼だけではなくネフィシカ殺害の依頼の両方を受けていたらどうなったんだろう?なんて考えてしまった。どちらにしてもサルベーンは自分の都合で信仰を変えて生きていきそう。2012/08/30
Haru
16
どこまでも真っ直ぐで、揺らぐことがあっても最後は自分の足でシッカリと立ち位置を勝ち取る。そんなカリエを賞賛しつつ憎悪を感じてしまう、イーダル、サルベーン、そしてマネイエの気持ちがちょっぴり分かる。自分の手に入らないものって憎んでしまえば楽だったりするものね。「自分にとって裏切りに見えても、相手にとっては正義なのかもしれない」と考えるカリエは確実に成長している。それにしてもセーディラは何者・・・今の段階ではやはり女神そのものとしか思えない。ドーンの容態、サルベーンの生死、気になることがいっぱいの巻でした。2012/08/23
baboocon
14
相変わらずカリエの順応力には恐れ入る。密約に政略結婚と策謀が吹き荒れる巻ですな。そしていよいよルトヴィアはやばいことに・・・。「帝国の娘」の頃と比べると、万事が裏目にでて理想も砕け、憔悴し切ったドーンの姿があまりにもやるせない。サルベーンとエディアルドの激突も出会った頃からの変遷を顧みると感慨深い。サルベーンは結局変われなかったのか・・・と思うと切ない。2012/04/09
みずなか
13
ロ イ が こ わ い。目的のためなら手段を選ばなくなってきてるなぁ。反面カリエとグラーシカの会話のなんと和むことか。会話といえばエドとサルベーンの会話も印象的でした。サルベーン対して思ってたことをはっきり確信をついて言ってくれたので「そうそう、そうなのよー!」と、読みながら拍手喝采でした。2012/06/29
ゆり
10
ルトヴィアの凋落に読んでいて胸をえぐられました。アルが連れてこられてグラーシカと出会った絢爛豪華なロゴナ宮から、なんて変わってしまったんだろう……。ミュカが読み進めるごとにどんどん成長していて嬉しい。しかし今となっては改革に失敗し独裁者となってしまったドーンの姿が辛すぎる。今回サラがかつての彼女らしさを取り戻していて宝石のエピソードも泣けました。サルベーンもイーダルもバルアンも皆不穏ですが、変わらぬエドのたたずまいとカリエとの信頼の絆がとても良いです。カリエとグラーシカの友情も損なわれていなくて嬉しい。2016/06/11