内容説明
ケイの故郷を訪ねた響生とケイ。ケイが秘めた深い傷を癒そうとする響生に二人の距離は近くなったかに思えた。一方、来宮ワタルが出演する響生原作の映画の撮影が迫り、不安と焦りに駆られるケイ。やがてそれぞれの新作が始まった。舞台にすべてをぶつけるケイとワタルに“F”と名乗る謎の人物から青い薔薇の花束が届く。“天国で待っています”という不気味なメッセージの意味は。
著者等紹介
桑原水菜[クワバラミズナ]
9月23日千葉県生まれ。中央大学文学部史学科卒業。1989年下期コバルト読者大賞を受賞
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感想・レビュー
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藤月はな(灯れ松明の火)
12
榛原の呪縛から逃れようとしても彼を連想してしまうケイを手放したくないと願い、もう一人のアンゲロスをワタルに見出してしまう連城とワタルに嫉妬し、彼を見出してしまった連城から「いらない」と言われることに怯えるケイ。二人の向き合おうとする真摯さと互いを救えないことへの虚しさに胸がしくしくと痛みます。青い薔薇と榛原の昔を知る渡辺さんによって語られる過去と人間関係で浮き彫りになる榛原の孤独。ケイが出演する「孤島の鬼」とも相まってもう嘆くことすらもできない悲しさと虚しさからへの足掻きを伴ってすべてが加速していく。2012/06/20
tomino
3
ヒビキはヘタレで浮気モーン。・゚・(ノД`)・゚・。劇中劇の描写が相変わらずの緊張感で素敵。「孤島の鬼」「真珠郎」は原作そのうち読もう。あと5巻で終わってしまう~|ョ゚Д゚。))))ドキド。続きが気になるけど、手元にないのでちょっと休憩。2017/12/09
みなと
3
これまで舞台とか演劇とかにまったく興味を抱かなかった私を完璧に変えてしまったシリーズ。まさか劇を観るために名古屋まで出ていくようになるとは思いもしなかった。いつか「サロメ」を観たいなあ。 しかし、なんて言うか、急に外で読めない本になってしまうのがね。これは少女小説、いかがわしくない、と唱えながら読んでました。2010/11/16
たろさ
2
ケイと連城。まるでシーソーのように、想いがこちらにある時は、アンバランスで。連城はケイを抱こうとしても、そこに惨めさを感じて、手に入れることができない。ケイは連城の「剣」をワタルが演じることで、連城を救えるのは自分だけではないのではないかと悶々とする。榛原はケイをとうとう手元で育てることを決意するが、ケイはオーギュストを演じた後に連城に抱いて欲しいと告げ、、そんな中で起こる爆破事件、恐喝、誘拐事件。 ワタルの帆津羅を見た連城は。2018/11/08
晴久
2
面白い。乱歩の「孤島の鬼」好きな小説のひとつです。ぜひ観たい。すごく観たい。エログロ怪奇いいですよね!「真珠郎」は未読。ぜひ読みたいです。響生さんたちの、不器用ぶりというか頑なさにはもどかしい限り。見えない出口が見えることを願っております。響生さんがいろいろ手一杯で無防備すぎて、横から刺されないかと不安でいっぱいです。みんな幸せになれたらいいのに。榛原さんと響生さんのシーンはセクシーすぎてもうどうしようかと思いました。2016/05/08