内容説明
スペインの北から南まで、古いカフェ(酒場)やメゾン(旅籠)、またさまざまな民家や町並みの素顔を、デザイナー増田正の眼が捕捉した異色の写真集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
250
ナポレオンは「ピレネーの向こうはアフリカだ」と言った。たしかに、そこは他のヨーロッパ諸国とは大いにその趣きを異にする。異国情緒があるのだ。アンダルシアなどは、地中海を挟んだ対岸のマグレブ地域と気候・風土の相通性は高い上に、1492年にレコンキスタが完了するまで、イベリア半島は長らくイスラームの支配下にあったのだから。イスラームとキリスト教文明が混淆するムデハル様式こそが、そのエキゾティズムの正体だろう。そして、ガウディのサグラダ・ファミリアに象徴されるように、スペインはまた装飾過剰なバロックの国なのだ。2015/11/29