内容説明
江戸の世に開いた妖しい花…。「雨月物語」や「菊花の約(ちぎり)」といった怪奇ロマンの傑作は今の世にもなお新鮮なリアリティを持つ。目もさめるような華麗な錦絵などを多数盛り込んで展開した奇才の世界。
目次
上田秋成の世界―その伝統の中の個性
『雨月物語』―作品鑑賞
秋成の生活と文学の旅
『春雨物語』―作品鑑賞
江戸時代の怪奇画
逃亡の文学
ロマン的想像力の系譜
秋成の歴史意識
京画壇と江戸画壇―寛政から幕末へ
応挙と呉春
『胆大小心録』の群像
煎茶道
災害と一揆の時代
自立都市大坂の誕生
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
maekoo
5
江戸時代享保∼文化期の国文学者で雨月物語等の怪奇幻想文学の先駆者で反骨精神旺盛な上田秋成について論じた写真や絵図も豊富な大型豪華本! 春雨物語も含む秋成作品の紹介や解説、そして生い立ちや人物像・思想・意外な凄い交友関係・その時代(田沼時代や明和安永天明の大火・洪水・噴火・飢饉・民衆暴動の大型化・武家経済の破綻と商人文化)の世相・本居宣長との関係等深く知れます! 煎茶道発展に貢献した事は意外に知られていません。 時代と表題のテーマ(文学や人物)について大変高度で硬派な論文解説の読み応えのあるシリーズです。2023/09/29