内容説明
謝罪は求めない。だけど赦さない。怒りと悔しさは一生消えないけれど、本当の気持ちは言わずに別れます。母の介護はできない。母亡きあとの手続きはすべて弁護士に任せます。両親のやまない依存症により家族解散の道を選んだ。この先、両親を看るつもりはない。育った家族や自分の問題に気づいてからは、親に借りをつくらず、血縁以外の人に支えられて生きてきた。母と娘として向き合うことはもうない。最後に暮らした二カ月間があったから、ここまでふっきれた。“不幸な母”が九〇代でみせた心の変化。最終章にいたっても、母と娘の結末は最期の最後までわからない。重すぎる母の介護、7人のストーリー。
著者等紹介
寺田和代[テラダカズヨ]
立命館大学卒業後、会社員を経てフリーライター・エディター。女性誌、文芸誌、総合誌でのインタヴュー・執筆、単行本などの企画・制作に携わる一方、2000年に社会福祉士資格を取得し、高齢者介護・医療・暮らしの分野でも取材活動を続ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nyaoko
89
私は母を看取れません。実の親子であっても、育ててもらった恩があると言っても、人にはとても言えない、数々の出来事を水に流すなんて絶対にできない。出来る限りの手を尽くし、他人に全て委ねてやろうと思っている。私の人生は私のもの。信田さんのインタビューを読んで、この考えは間違って無かったと強く思った。母を母として正面から見つめると憎しみしか見えないが、1人の人間として見ると、貧困と孤独ときちんとした教育を受けられなかった時代の犠牲者である事が分かる。気の毒な人だったと思う。けれども、介護は別。別である。2020/12/13
ひほ
29
親子の関係性がよければ誰だって親を看取りたいという気はあると思います。でもそれができないという関係性はとっても辛いことだったでしょう。きっと嫁姑の争いよりもっと辛いものなのだろうと思いました。2021/01/13
スリカータ
25
ストレートなタイトルなので、家に置いて家族に見られたくないが、読んでみるとタイトルから受ける印象ほどキツくなかった。所謂「毒親」育てられアダルトチルドレンやメンタルに支障を来たした娘が年老いた親とどう接したかの体験談。良いとか悪いとかではなく、こういう人達のために介護システムがある。心が通わない介護で双方の人生奪われるより、他人の世話になった方が親切にされるだろう。2020/04/26
dolce vita
23
親を看るのは子の務め…とはもはや古い考えなのかもしれない。虐待や過干渉により子どもを支配する親は案外たくさんいて、その時に染み付けられた思いやされたことは簡単には消えずに燻り続ける。呪いのようだと思う。大人になってまでも支配が繰り返され、自分を奪われたり破壊されたりするくらいなら縁を切るのもアリじゃないか。冷たいかもしれないけれど、自分を守れるのも自分だから。と言っても実行するにはなかなか難しい。介護にしても仕事にしても、自分の命をすり減らしてまでしなくていい社会になってほしい。#NetGalleyJP2020/02/17
宇宙猫
20
★★ 書かれているケースが壮絶すぎて参考にはならないな。2020/06/16