内容説明
散るさくら残るさくらも散るさくら。そこに込められている無常観、日本人の死生観…。西洋文化の「個」とは違う、日本独特の「孤」「独」。「ひとり」から見ていく「いじめ」「孤独死」「自死文化」。碩学の宗教学者が説く、いま最も求められる日本人論。
目次
1章 「ひとり」であることの強さ、美しさ(三宅宏美選手が体現したひとりの美;孤独な戦いの中で練り上げられる身体と技 ほか)
2章 日本語の「ひとり」が持つ豊かさ(「ひとり」と欧米の「個人」「自己」との違い;恋は「こひ=孤悲」。たったひとりで味わう想い ほか)
3章 「ひとり」に込められた覚悟(大量死の原点は、ひとりひとりの死;記号的ではなく生命的な存在の「ひとり」 ほか)
4章 ひとりで「考える」ということ(人は、ひとり旅に何を求めるのか;山頭火のジレンマ ほか)
5章 落日の向こうに感じる浄土(ひとりになれない人間は比較地獄に陥る;聴覚を選んだ人間は神に近く、視覚は悪魔に近い ほか)
著者等紹介
山折哲雄[ヤマオリテツオ]
1931年、サンフランシスコ生まれ。東北大学文学部印度哲学科、大学院で学ぶ。駒澤大学文学部助教授、東北大学文学部助教授、国立歴史民俗博物館教授、白鳳女子短期大学学長、国際日本文化研究センター所長などを歴任。2010年、南方熊楠賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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森
9
図書館で借りた。単なる思い込みのような体験談があり、冷めた、読み飛ばししながらの斜めよみ、悪い内容ではないようですが、残念でした。2016/08/16
ホキム
5
「ひとり」には悲しみや寂しさの中の孤独と だからこそ凛として生きていこうという 力強さ その両面がいつの間にか備わっていったのではないか。それを実践している 友人がいる。 ご主人が亡くなったあと 長男との同居を考えたが 家族のなかでの孤独の方がひとりよりどれだけ辛いかと思い 今は気ままにひとりで楽しんでいる。 団塊世代の人にはお勧めの本です。 2015/09/21
スリカータ
3
対象読者層が70代だろうか。世代格差を感じた。子供を前側で抱っこすること(スリングなどを用いて)に対する偏見からの推論など、私には必要のない論説だと思い、飛ばし読みした。お爺さんのお説教を聞かされた気分です。2018/01/14
hisakodosu
2
凛とした決意のようなものかな。断食もたまには必要。成功するのは意思強固な人らしい。2014/07/13
croto
2
立ち読みなのに一息で読了。なぜにこんなに面白い。母親と子供の関係、カンガルー型、おんぶ型。子供を乗せたチャリのスピード感。「ひとり」と「Individual」の違い。深呼吸と姿勢と瞑想で学生のざわめきを静める。「恋」とは「孤悲」。「無常」の明るさ、暗さ、ネバーギブアップ。「他人を看取るように 自分を看取る、自分を看取るように 他人を看取る。」立ち読みで哲学の時間。すみません。2014/06/22