内容説明
東京小石川にあった大印刷会社が労働組合を無力化するため、1926年、労働者をリストラしたことによって始まった、有名な大労働争議が題材となっている。会社と官憲に対し、当時の労働者たちはいかに闘ったのか。労働者たちの生活は困窮をきわめ、彼らが住む地区は「太陽のない街」と呼ばれた…。
著者等紹介
徳永直[トクナガスナオ]
1899年生~1958年没。昭和の小説家。貧困のため小学校を中退。印刷所の見習いになる。植字工となるが、1926年の共同印刷争議に加わり、解雇される。その体験を基に1929年『太陽のない街』を発表。プロレタリア文学の旗手として注目される。労働者作家として活動を続け、『はたらく一家』『光をかかぐる人々』『妻よねむれ』『日本人サトウ』などの作品がある。『太陽のない街』は外国でも翻訳され、映画にもなった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ハチアカデミー
6
C+ 谷底の街に流れる「千川どぶ」周辺に住まう、貧しき労働者のストライキと暴動を描いた、プロレタリア文学の代表作。大資本家が経営する工場で働く人びとは、搾取され、惨めな生活を送る。その現状を打破するために、闘う男女の物語である。労働者、という明確な読者対象(啓蒙対象)があり、その人びとに読まれるために、見出、小見出の多様や、ビラを真似た本文など、工夫をしている。そして、本書は「主人」公が不在であり、中心人物ではなく、事件の周辺の人びとを多く描いている点が読みどころか。後半の暴動の場面における群衆描写が◎2012/10/02
marukuso
1
プロレタリア文学の中でも有名な本だと思う。戦旗社版を読む。未完で終わっており、労働組合と資本家との戦いがリアルに描かれている。組合側が負けてしまうのだがまだまだこれからだ!という感じで終わる。会社から送り込まれる密偵や暴力団に組合側は徹底的に潰されてしまう。彼らが住む舞台が今はなき東京の貧民街で、こうした作品が読み継がれてきたことはまだまだ人事ではないのだろう。昔みたいにわかりやすい搾取する資本家はいなくなったが、ブラック企業がはびこっている現在でもこうしたジャンルの文学はこれからも必要とされるのだろう。2016/07/12
ゆずぴ
1
はずれ。読みにくかったー!2013/09/27
ryoudai39
1
旧字体や堅い文型とかで、今の人には読みにくいかもしれないが、良い表現がたくさんあるので参考になる。2011/09/10
雨巫女
1
うちの近所に直さんが住んでたので、初めて作品を読んだ。2009/03/17