出版社内容情報
1973年に書き下ろし長篇小説として出版され、その年の野間文芸賞受賞作となった『洪水はわが魂に及び』執筆と並行して、大江健三郎は文芸誌「新潮」1970年12月から1973年8月にかけて6回の「文学ノート」を発表する。これは一般的なイメージでの創作ノートとは大きく異なる、作品を創造することに関する詳細な自己分析の集積である。
また「付=15篇」とされる、最終的に長篇小説『洪水はわが魂に及び』から省かれた細部の15篇は、執筆中の作品と作家にとってどうしても必要な要素であった。
最終稿としての長篇小説、執筆中の作家の意識の詳細な自己分析、執筆途上では作品そのものと作家にとって必要不可欠だった細部、この三者をあわせ読むことで、大江健三郎という稀有な作家の想像力のありよう全体が明瞭となるのである。
【目次】
文学ノート
*このノートのためのノート
1作家が小説を書こうとする……
2言葉と文体、眼と観照
3表現の物質化と表現された人間の自立
4作家が異議申し立てを受ける
5書かれる言葉の創世記
6消すことによって書く
付=15篇
1隠れ家
2転換
3家族
4自殺する幼児
5光
6悲哀
7少年犯罪団
8未来
9朝鮮人
10革命
11言葉の専門家
12歯
13傷洗い
14結婚
15大洪水後
解説
年譜
内容説明
『万延元年のフットボール』につづく長篇小説として刊行され、高い評価を受けた『洪水はわが魂に及び』執筆時に「現場報告」として記されていた「ノート」。草稿で必要とされつつも、ついに最終稿で本文から削除された断片たち。小説家は自らの作品とどのように向き合い、磨いてきたか?想像を超える深層で響き合い、うごめき、記された文章は、読書を静的なものから動的で刺激的な行為へと変貌させる。
目次
文学ノート(作家が小説を書こうとする…;言葉と文体、眼と観照;表現の物質化と表現された人間の自立;作家が異議申し立てを受ける;書かれる言葉の創世記;消すことによって書く)
付=15篇(隠れ家;転換;家族;自殺する幼児;光;悲哀;少年犯罪団;未来;朝鮮人;革命;言葉の専門家;歯;傷洗い;結婚;大洪水後)
著者等紹介
大江健三郎[オオエケンザブロウ]
1935・1・31~2023・3・3。小説家。愛媛県生まれ。東京大学文学部卒業。大学在学中の1957年、「奇妙な仕事」が文芸評論家平野謙に高く評価されたことを契機に「死者の奢り」など文芸誌で短篇小説を次々発表する。58年、「飼育」で芥川龍之介賞を受賞。海外での翻訳出版を通じ、小説の方法に自覚的であり日本文学を最先端で牽引する存在として世界的に認知され、94年、ノーベル文学賞受賞。また、戦後民主主義者を自認し、日本国憲法擁護や核兵器廃絶などへの立場は鮮明だった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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