講談社文芸文庫<br> 文学ノート―付=15篇

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講談社文芸文庫
文学ノート―付=15篇

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  • サイズ 文庫判/ページ数 336p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784065435083
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0195

出版社内容情報

1973年に書き下ろし長篇小説として出版され、その年の野間文芸賞受賞作となった『洪水はわが魂に及び』執筆と並行して、大江健三郎は文芸誌「新潮」1970年12月から1973年8月にかけて6回の「文学ノート」を発表する。これは一般的なイメージでの創作ノートとは大きく異なる、作品を創造することに関する詳細な自己分析の集積である。
また「付=15篇」とされる、最終的に長篇小説『洪水はわが魂に及び』から省かれた細部の15篇は、執筆中の作品と作家にとってどうしても必要な要素であった。
最終稿としての長篇小説、執筆中の作家の意識の詳細な自己分析、執筆途上では作品そのものと作家にとって必要不可欠だった細部、この三者をあわせ読むことで、大江健三郎という稀有な作家の想像力のありよう全体が明瞭となるのである。


【目次】

文学ノート
 *このノートのためのノート
 1作家が小説を書こうとする……
 2言葉と文体、眼と観照
 3表現の物質化と表現された人間の自立
 4作家が異議申し立てを受ける
 5書かれる言葉の創世記
 6消すことによって書く

付=15篇
 1隠れ家
 2転換
 3家族
 4自殺する幼児
 5光
 6悲哀
 7少年犯罪団
 8未来
 9朝鮮人
 10革命
 11言葉の専門家
 12歯
 13傷洗い
 14結婚
 15大洪水後

 解説
 年譜

内容説明

『万延元年のフットボール』につづく長篇小説として刊行され、高い評価を受けた『洪水はわが魂に及び』執筆時に「現場報告」として記されていた「ノート」。草稿で必要とされつつも、ついに最終稿で本文から削除された断片たち。小説家は自らの作品とどのように向き合い、磨いてきたか?想像を超える深層で響き合い、うごめき、記された文章は、読書を静的なものから動的で刺激的な行為へと変貌させる。

目次

文学ノート(作家が小説を書こうとする…;言葉と文体、眼と観照;表現の物質化と表現された人間の自立;作家が異議申し立てを受ける;書かれる言葉の創世記;消すことによって書く)
付=15篇(隠れ家;転換;家族;自殺する幼児;光;悲哀;少年犯罪団;未来;朝鮮人;革命;言葉の専門家;歯;傷洗い;結婚;大洪水後)

著者等紹介

大江健三郎[オオエケンザブロウ]
1935・1・31~2023・3・3。小説家。愛媛県生まれ。東京大学文学部卒業。大学在学中の1957年、「奇妙な仕事」が文芸評論家平野謙に高く評価されたことを契機に「死者の奢り」など文芸誌で短篇小説を次々発表する。58年、「飼育」で芥川龍之介賞を受賞。海外での翻訳出版を通じ、小説の方法に自覚的であり日本文学を最先端で牽引する存在として世界的に認知され、94年、ノーベル文学賞受賞。また、戦後民主主義者を自認し、日本国憲法擁護や核兵器廃絶などへの立場は鮮明だった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

佐藤

0
とてもよかった。「多様性ということが結局は、問題の焦点なのだ。想像力とは本来、多様化の方向性をそなえて機能する。すくなくともそれは単一の方向づけから人間を解放する機能をもつ。しかも紙に一語ずつ言葉を書きつけてゆきながらの小説の展開は、多様性をいちいち綿密にたしかめながら想像力をくりひろげるのに適している。詩における、雷電のような想像力の一閃による、全体の把握とちがって、小説の想像力は、砂の上を歩く貝の足のようにすぐそばをゆっくりなでさするようにして全体をつかみとってゆくのである。」(103)2026/10/15

豊永浩平

0
「意識を超えた表現はありうるし、またそれがありえなければ小説などはまことに狭く限定された、貧しい人間の作業にすぎぬが、しかし、意志のおよぶかぎり、それを統御しつつ書きすすめるのでないなら、小説の構造はゆるみっぱなしになり、そのなまくらの土台からは、ついに意識を超えた表現など沸きおこってきはしない(……)あいまいな一行は、絶対にそれを正確な一行にかえなければならぬ。(……)しかしどうしても正確な一行をきざみだしえないならば、むしろその一行をまったく削除してしまったほうがいい。」2026/10/08

aaboo

0
豚足の骨の描写は、洪水はわが魂に及びにあったなと思い出した。2026/06/28

K

0
小説を書く過程は常に自己否定であり、紙の上に書きつけた文字から返ってくる異議申し立ての、気の滅入るような重苦しい抵抗感に苦しみつつ、確たる手がかりや明瞭な見とおしもない前方の暗闇に自分を投げ出し、言葉による手探りを続ける、その行為によって自身を乗りこえる飛躍の瞬間を目指すこと、つまりサルトルの言う「投企」であると一貫して示される。作者としてのこの経験、また読者が作者の肉体=意識が眼のまえにあらわれて息づいていると感じとる経験は生成AIには到底できることではなく、この時代に改めて出版された意義を強く感じた。2026/06/14

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