講談社文庫<br> 月ぬ走いや、馬ぬ走い(ちちぬはいやうんまぬはい)

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講談社文庫
月ぬ走いや、馬ぬ走い(ちちぬはいやうんまぬはい)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 208p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784065433775
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

第67回群像新人文学賞、第46回野間文芸新人賞、第11回沖縄書店大賞(小説部門)トリプル受賞!
琉球大学在学中、21歳での鮮烈なデビュー作!

沖縄に生きるアメリカルーツの男子小学生、片足を失い幻肢痛に苦しむ米兵と結婚したコザの女性、特攻へ向かう旧日本軍将校──。14人の語りを通して、戦中から現代までの沖縄の80年史を描き、その因果の物語を辿る。

『月ぬ走いや、馬ぬ走い』は、沖縄の近現代、連鎖する暴力、死者と記憶と時間といった明らかな主題や情報が霞んでしまうほど詩的で恍惚的な文章に満ち、読後にそのすべてが名状しがたい体験として迫り残り匂いたつ。抜群のリズムと声によるこの容赦のない疾走はまったくの才能である。
──川上未映子

島尾敏雄ほか先人のエコーを随所に響かせながら、沖縄に深く堆積したコトバの地層を掘り返し、数世代にわたる性と暴力の営みを、『フィネガンズ・ウェイク』的な猥雑さで、書きつけた作品。Z世代のパワフルな語部の登場を歓迎する。
―― 島田雅彦

十四章の構成で沖縄の近現代史を描き切る、しかも連関と連鎖、いわば「ご先祖大集合、ただし無縁者も多い」的な賑わいとともに描き切る、という意図はものになった、と私には感じられた。/この小説はほぼ全篇、ある意味では作者自身のものではない言葉で綴られていて、だからこそ憑依的な文体を自走させている。つまり、欠点は「長所」なのだ、と私は強弁しうる。要するにこの「月ぬ走いや、馬ぬ走い」は小さな巨篇なのだ。
―― 古川日出男

「読んだものを茫然とさせ、彼のいままでを氷づけにし、そのうえで、読むことをとおしてあたらしい魂を宿らせる、そんな小説でありたい……テクストでの魂込め(まぶいぐみ)とでも呼ぶべきところが、ぼくの目標です。」豊永浩平(受賞のことば)

ぼくがここにいて、そしてここはどんな場所で、なによりここでぼくはこうして生きてきた、ってことを歌って欲しいんだ、ほとばしるバースはライク・ア・黄金言葉(くがにくとぅば)、おれらは敗者なんかじゃねえぞ刻まれてんのさこの胸に命こそ宝(ぬちどぅたから)のことばが、月ぬ走いや、馬ぬ走いさ!



【目次】

内容説明

沖縄に生きるアメリカルーツの男子小学生、片足を失い幻肢痛に苦しむ米兵と結婚したコザの女性、特攻へ向かう旧日本軍将校―。14人の語りを通して戦中から現代までの沖縄の80年史を描き、その因果の物語を辿る。琉球大学在学中21歳でデビューした恐るべき才能による群像新人文学賞、野間文芸新人賞受賞作。

著者等紹介

豊永浩平[トヨナガコウヘイ]
2003年、沖縄県那覇市生まれ。琉球大学人文社会学部卒業。’24年、本作『月ぬ走いや、馬ぬ走い』で第67回群像新人文学賞を受賞しデビュー。同作で第46回野間文芸新人賞、第11回沖縄書店大賞(小説部門)を受賞。’26年1月、初の長篇小説『はくしむるち』(講談社)を刊行(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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やすらぎ

143
戦中から現代まで、主人公の視点が変わりながら語られ、同じ地に生きる各々の生き様に引き込まれていく。一人の人間が書いたものなのか、頁に埋め尽くされた文字から作者を拠り所として魂の叫びが聴こえてくるよう。人が争うとどれほどの人生を壊すのか。平穏を望む無関係な人が巻き込まれて、心が蝕まれていく。当時蔓延していた気配は現地でしか感じられない。屈辱や苦悩は物語られる以上に残酷である。他者に歪められながらも誰もが疾走していた。時代が移り変わったとしても入り交じる感情は消えない。我々に太平の世が訪れるのはいつだろうか。2026/06/03

たまきら

24
新刊コーナーより。久しぶりにこういうフォークロアを読んだーそして、過去と同時にいま、が強く立ち上る。弱いもの、無垢なものが利用され消費される負の連鎖がぐるぐると時空を超えて紡がれる。救いがないのに、その連鎖を人はまた紡ぐ。途切れたらそこでおしまいだから。私も気づけば50過ぎ。本当に時がたつのは早いーだからこそ、若い人の活躍に心が躍る。もっとこの作家が読んでみたい!…しかし、この本を他の言語に訳するのは不可能だろうなあ…。2026/06/16

よっち

23
先祖の魂が還ってくる盆の中日。幼い少年と少女の前に現れた78年前に死んだ日本兵の亡霊。時空を超えて紡がれる圧巻の「語り」が歴史と現在を接続する物語。時代も性別も立場も異なる多くの人々がしりとりのように言葉尻を引き継ぎながら、過去から現代の沖縄までを連鎖させながら語られる、少し頑張ったくらいではどうにもならない過酷な現状。それに抗うもどかしさや憤りを描き出していて、突然切り替わる視点に戸惑いも覚えましたが、積み重ねてきた歴史に生きた彼らの心からの叫びで、何よりぐいぐい一気に読ませてしまう文章力は圧巻でした。2026/05/15

まえしゅん

10
★★★★★ 語り手を交代させながら濃密な沖縄の歴史を紡ぐ、その荒い息遣いが伝わってくるようだ。日本刀という暴力を象徴する道具が一直線に物語を貫いていることに気付いたとき、その構造の見事さ、ストーリーテリングの巧さに感動した。取り返しのつかない境地に達した先にある愛情の煌めきに圧倒され、過去から現在へと連綿と続く暴力の連鎖に深く縛られた。 素晴らしい才能に出会えた。豊永浩平の書く小説を今後も追っていきたい。2026/06/09

CCC

7
『はくしむるち』を読んだ後に読んだけれど、こちらの方がよりスマートな印象になった。特殊な手法の使用意図は、こちらの方がまだ説明できそうなものが多そうに思える。あくまで比較してだけど。過去と現代、男女等を対比させながら繋げ、沖縄を描き出している。その裏にあるメッセージ性は存外素直かもしれない。尊厳が奪われるさまを書くことで、その価値の復権を願っているように見えた。ただ作者的にはその背景の複雑さを書くには複雑な手法に頼らざるを得なかった、ということなのかも。2026/06/08

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