出版社内容情報
道長が「この世をば我が世とぞ思う……」と口ずさんでから約70年。道長の玄孫にあたり、のちに右大臣に昇る藤原宗忠は宮廷での日々を綴り始めた。宗忠が職を辞するまで、52年にわたり書き続けられた『中右記』は、華やかな宮廷生活はもちろんのこと、「武者の世」へと大きく時代が動いていく院政期社会の実像を伝えてくれる。貴族の旅行や交通事情、京で起こったさまざまな犯罪、落馬を恐れる貴族と牛車に四苦八苦する武士たち――宗忠は時に家族との死別に涙して仏事に奔走し、息子たちの栄達を願って心を砕く一方、自らを妨げた者、助けてくれた者の一覧を記すような面も日記のなかで見せている。
膨大な日記の海から、著者ならではの視線で重要な記述をすくいあげ、およそ900年前を生きた多様な階層の人々の暮らしをあざやかによみがえらせる、不朽の院政期社会史。
院政期の第一級史料である『中右記』は実にさまざまなことを語ってくれる。従一位、右大臣にまで昇りつめた宗忠の日々の苦労や悲喜こもごもはもちろん、熊野詣や伊勢への具体的な旅程と旅先ならではの交流、当時の警察・裁判機構の長官である検非違使別当として記した京の犯罪とその取り締まりの実態、それをめぐる人間模様、強訴を繰り返す悪僧たちの躍動、京の民衆が熱狂した田楽、そして警備などを通じて静かに存在感を増していく武士たちの姿……。
宗忠が生きた時代は、白河院による院政が始まり、「武者の世」の足音が聞こえはじめた、激動の予感に満ちた時代である。摂関家を中心とする藤原一門の栄華には翳りがさし、宗忠の日記には王朝貴族の秩序が崩れていくことへの悲憤や嘆きもにじむ。同時に武門の随兵・郎等のあり方からは、院政時代特有の武士像もうかがえる。
膨大な日記のなかから宝物のような手がかりをすくいあげ、同時代の日記や史料をも駆使して、900年前を生きた人々の体温や息遣いまで感じられるほどに、当時の世界が描き出される。(原本:そしえて、1979年)
【本書の内容】
はしがき
一 立身の道
二 熊野・伊勢への旅
三 検非違使の記録
四 院政期諸階層の生態
五 宮廷貴族の晩年
藤原宗忠関係年譜
解 説 髙橋昌明
【目次】
はしがき
一 立身の道
二 熊野・伊勢への旅
三 検非違使の記録
四 院政期諸階層の生態
五 宮廷貴族の晩年
藤原宗忠関係年譜
解 説 髙橋昌明
内容説明
藤原道長の玄孫、右大臣宗忠が五十二年にわたる宮廷生活を書き綴った『中右記』。華やかな行事に貴族の旅行事情、京の犯罪、静かに存在感を増していく武士たち…膨大な記述から、著者ならではの視線で貴重な記述をすくいあげ、およそ九百年前に生きた多様な階層の人々の暮らしをあざやかによみがえらせる。不朽の院政期社会史。
目次
一 立身の道(日記の始まり;弁官と行事所;皇居堀河院焼亡;永長大田楽;父宗俊の死;公卿昇進;中御門新亭)
二 熊野・伊勢への旅(熊野詣の行程;牟婁の中辺路;御山に入る;三山巡拝;伊勢勅使派遣;鈴鹿峠越え;外宮と内宮;帰洛の道)
三 検非違使の記録(別当就任;使庁の官人;尋問記録;判決と行刑;官物年貢の強盗;流罪と軽犯;獄囚の釈放)
四 院政期諸階層の生態(受領と知行国主;山門強訴と公卿流罪;京中の武士;法皇とその周辺)
五 宮廷貴族の晩年(大納言の辞表;中宮大夫と尚歯会;日野の塔と新堂;公家の日記と文書;日記の終わり)
著者等紹介
戸田芳実[トダヨシミ]
1929‐91年。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。文学博士。神戸大学名誉教授。専門は日本中世史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。



