出版社内容情報
「日本的」世界は、こうして生まれることになった。
大陸の統一帝国出現は、倭と呼ばれる小国を政治変革へと突き動かす。
彼らは緊迫する東アジアを生き抜くべく、律令という先進的統治システムを必死に学び、土着的な氏族制社会の上に接合させた。
「日本的」な国制と文化は、なぜ、いかにして生まれたのかを深く問い、大化の改新からの二五〇年の骨格を鮮やかに描き出す、
不朽の歴史像。
解説:大隅清陽
【本書より】
大宝律令は、当時の日本の社会から隔絶した高度な統治技術をふくんでいた……支配層による統治技術の「先取り」は……早熟的な国家を生みだした……律令国家には、中国的な律令制と、大和王権に由来する氏族制とが重層しており、あえて図式化すれば、律令国家は「律令制」と「氏族制」の二重構造としてとらえることができる……
【解説より】
本書において吉田は、概説書ならではの試みや冒険も随所でおこなっている。それは主に、日本の古代国家と近代の国民国家や天皇制との関係を問うもので、端的に言えば「日本とは何か」「天皇とは何か」という二つの問いに集約される。
【本書の内容】
はじめに
宮中のクーデター
新しい国制の模索
亡国の危機
内乱の勝者
律令国家の構想
平城京の建設
大仏開眼
天平びとの愛と死
ゆれ動く天皇観
平安京へ
古典的な国制と文化
おわりに
参考文献
解説 「日本」への果敢なる問い(大隅清陽)
年表
索引
*本書の原本は『大系日本の歴史』第3巻として1988年2月に小学館より刊行され、1992年に小学館ライブラ
リーに収められました。今回の文庫化にあたり、副題「倭から日本へ」を新たに付しました。
【目次】