時の家

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  • サイズ 46判/ページ数 144p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784065412275
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報


第47回野間文芸新人賞候補作!

ここで暮らしていた人々の存在の証を、ただ、描きとめておきたい。
三田文學新人賞でデビューした注目の小説家が、傑出した完成度で紡いだあたらしい建築文学。

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いしいしんじ氏&松永K三蔵氏、推薦!

「大切に建てられた一軒の家に、ひとの気配がやどる。流れる時のすきまから、あまたの声がもれだしてくる。いつかまた、この本のなかに帰ってこようと思った。」
――いしいしんじ

「紐解かれていく「時の家」の記憶は、語られなかった想いに繋がる。物質(モノ)がこれほど繊細に語り得る小説を私は知らない。」
――松永K三蔵
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青年は描く。その家の床を、柱を、天井を、タイルを、壁を、そこに刻まれた記憶を。
目を凝らせば無数の細部が浮かび、手をかざせば塗り重ねられた厚みが胸を突く。
幾層にも重なる存在の名残りを愛おしむように編み上げた、新鋭による飛躍作。

【装幀】水戸部 功


【目次】

内容説明

青年は描く。その家の床を、柱を、天井を、タイルを、壁を、そこに刻まれた記憶を。目を凝らせば無数の細部が浮かび、手をかざせば塗り重ねられた厚みが胸を突く。幾層にも重なる存在の名残りを愛おしむように編み上げた、新鋭による飛躍作。

著者等紹介

鳥山まこと[トリヤママコト]
1992年兵庫県宝塚市生まれ。2023年「あるもの」で第29回三田文學新人賞を受賞。建築士でありながら、作家として執筆活動をしている。本書がはじめての単行本(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

シナモン

98
家の記憶はそこに住む人の記憶。リビング、洗面所、寝室…。かつてそこにあった暮らしが静かな文章とともに浮かび上がる。建築、家という硬いイメージとひとつひとつの記憶の柔らかなイメージのコントラストが何とも言えない情緒を醸し出していた。文章が美しくて、ずっとこの世界を味わっていたかった。大切にゆっくり読みたいと思わせる一冊だった。芥川賞候補作。2026/01/05

がらくたどん

59
無人になり解体を待つ家がある。家の各部材が風雨温湿にゆっくり反応しながら「終」の時を待っている。かつて家を建てた建築家に「描くこと」の愉しみを教えられた青年が忍び込み愛おしむようにデッサンを始めると、家の記憶が人の気配を携えて蘇る。丸柱の傷・漆喰の窪み。青年が屋内を移動しスケッチブックに部屋々々の姿を留めるほどに、家が見つめて来た人の営みが読んでいる私達に流れ込む。その記憶の奔流は合計三代を抱き留めた一軒の家の大往生の走馬灯のよう。で、思う。震災で覚悟もなく斃された家の記憶は誰かに受け止められたかしら。2026/01/18

ヘラジカ

47
まだ芥川賞を取っていない新人(?)作家の作品とはとても思えない。なんという筆力だろう。建築家の言葉で最も有名なのは「神は細部に宿る」だろうが、この作家はその細部の細部に宿る神性を徹底して描こうとしているように感じる。家に染み付いた記憶や時間の流れ、人々の人生そのものを微に入り細を穿つような、病的なまでの丁寧さで美しく綴った逸品。決して読むのが簡単な作品ではないが、新人作家の習作とはかけ離れた端正な小説である。イタリア文学の傑作、アンドレ・バイヤーニの『家の本』を思い出した。2025/12/17

ころこ

38
「家人称」ともいえる実験的な小説。「家称」じゃないかとのツッコミも考えられるが、言葉で表現するには、人間が理解できる形式でモノをとらえて、表現することになるからこの場合でも人称となる。カントによれば「物自体」は認識不可能だ。モノの描写を読み続けることは苦痛で、必然的に家人の物語=家の物語とならざるを得ない。モノを焦点化すると、藪、緑、圭の家人の時系列と家としての因果関係が逆転しても不思議ではない。2026/01/19

31
もの凄いものを読んだという感触。これは受賞するのではないか?綿密周到な筆致と、家の部材や身体の動きを通して時間を自在に行き来しながら語られる物語。 喩のうまさに唸らされる。木の幹としての家。ねじれの位置の問題。数学というのも、本作を豊かにしている要素だ。 家という時間、その中でただ生きている(いた)こと、今はないものに思いを馳せること、祈りではないけれど、ただ思ってみること。 尊い、とか祝福、というと過剰な気もする時間と生きることの軌道のほんの重なりを描いていて、こういうものが読みたかったのだと思う。2026/01/01

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