出版社内容情報
太陽神につつがなく運行してもらうためには、生贄を捧げなければならないーー。
生贄制度が残り、王と神官が絶対権力を持っていたマヤ文明。
父と母を殺され、姉を生贄にされ、自らも生贄として殺されかけた少年・スレイは、ウェラス族のヘルマスに救われなんとか命をつなぐ。
生き残れ、地獄のようなこの国で。稀代のストーリーテラーがおくる、前代未聞のマヤ文明サーガ!
内容説明
これは滅びゆく国の物語。故郷を奪われ、家族を殺され、自らも太陽神への生贄にされかけた少年・スレイ。やがて彼は英雄となり、国を揺るがす革命の幕が上がる。唯一無二のストーリーテラーが放つ、圧倒的スケールのマヤ文明×冒険小説。
著者等紹介
恒川光太郎[ツネカワコウタロウ]
1973年東京都生まれ。2005年『夜市』で日本ホラー小説大賞を受賞しデビュー。’14年『金色機械』で日本推理作家協会賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
187
恒川 光太郎は、新作中心に読んでいる作家です。 本書は、マヤ・アステカ文明の世界観、古代王国の争い、生贄、ジャガーの神格化でした。ジャガーは、好きな車で2台乗ったことがあります。 https://www.kodansha.co.jp/book/products/00004180662025/11/28
hiace9000
144
六百頁超のマヤ文明×冒険活劇×群像劇、王国勃興と滅亡の旅も、悠久のマヤ史においてはほんの一弾指に過ぎぬ。名作『夜市』と対なす筆致は、軽めの読み味でアニメ『ONE PIECE』を思わせる好展開。時系列のクロスフェード構成と主要人物の生い立ち描きでキャラ輪郭はいやまし際立っていく。滅亡の理由は未だ不明のマヤ文明。謎多き痕跡に卓越の想像力を注ぎ込み、さもありなん世界観を見事構築。「その大地では数多の文明が現れて消えていった」読了後すぐ、この書き出しの名文を読み返す。もしかしてこれは私たちの未来図ではないか―と。2026/01/17
ちょろこ
121
圧巻の一冊。密林の奥深くの栄枯盛衰の文明、架空のエルテカ王国を描いた物語は怯むぐらいのボリューム、カタカナの世界。なのに魅了される圧巻の世界観。「生贄攫い」によって一人の少年の平和な日々が奪われたせつない幕開け。恐怖で人を支配する事を正しく思う者、異をとなえる者など誰もの視点、背景まで丹念に描いているから選ぶ道に深みを感じられるのがいい。毒杯で勝敗が決まる弁論儀式戦争といい、自分の予想とは違う方向に動いていく面白さ、世の争いに対して矢のように刺さる数々の言葉もある良作。武器よりも言葉の世の中を切実に願う。2026/01/10
buchipanda3
106
「誰もが最後に何かに喰われる。そして世界に還元される」。600頁にも亘る英傑と神官、戦いと神事が交わる古代伝記活劇を堪能した。荘厳な設定だが口語調で漫画風な味わい。今では残酷としか思えない生贄儀式が、王国を維持するために必要と為されていた時代。それに異を唱える少年の出現により、大国エルテカが揺らぎ始める。伝統と畏怖での統治か、完全なる融和か。儀式戦争という古来の仕組みから派生した神官による思想対決が一つの山場。現代でも解が得られていない問答。その結果が見せた世界はただの虚無なのか。全ては歴史の一部と化す。2025/11/18
しんたろー
105
恒川さん新作…待望していたのに600頁超えの分厚い本で、殆ど知識がないマヤ文明をモチーフにした話と知って、後回しになっていた。が、読み始めると独特な世界へアッと言う間に惹き込まれた。テンポ好い展開、読み易い現代調の会話、好みの群像劇なのが、私には効果的だったのだろう。人間の本質を問う部分が多いので、考えさせられるシーンも多く、それでいて堅苦しくなく冒険活劇の要素も満載なので楽しい読書タイムだった。傑作『夜市』と全く違うジャンルながら、根底にある冷静な無常観と相反する人間臭い温かみを感じる著者らしさに満足。2026/01/17




