出版社内容情報
――月虫の姫ぎみの はなしを して あげよう。
月虫と いうのは、なまえの とおり、月に すんで いる 虫だ。
地球にうみおとされた月虫のたまごはやがてふしぎな音をたてはじめて……。
『博物館の少女』の富安陽子が文を、『海獣の子供』の五十嵐大介が絵を描く、新感覚おとぎ話。
【目次】
内容説明
「シノダ!」シリーズの富安陽子が文を、『海獣の子供』の五十嵐大介が絵を描く、新感覚おとぎ話。―月虫のようちゅうは、どんどんおおきくなって、うつくしい姫ぎみにせいちょうする。
著者等紹介
富安陽子[トミヤスヨウコ]
東京都生まれ。児童文学作家。『クヌギ林のザワザワ荘』で日本児童文学者協会新人賞、小学館文学賞、「小さなスズナ姫」シリーズで新美南吉児童文学賞、『空へつづく神話』で産経児童出版文化賞、『やまんば山のモッコたち』でIBBYオナーリスト2002文学賞、『盆まねき』で野間児童文芸賞、産経児童出版文化賞 フジテレビ賞を受賞。第8代大阪国際児童文学振興財団理事長
五十嵐大介[イガラシダイスケ]
埼玉県生まれ。多摩美術大学卒業後、「月刊アフタヌーン」(講談社)にて漫画家デビュー。『魔女』(小学館)で第8回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、『海獣の子供』(小学館)で第38回日本漫画家協会賞優秀賞、第13回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
天の川
44
五十嵐大介さんの作品かと勘違いしそうなくらい、五十嵐さんの絵にピッタリな話。月虫の産んだ卵。孵化した幼虫は生き延びるために擬態する。葉っぱや鳥の糞や花、そして人間…。人に育ててもらう月虫の幼虫。おぉ。かぐや姫だ!すぐに成長するのも、途方もなく美しいのも、求婚者に興味がないのも納得。だって擬態してるだけなんだもの。蛹になって羽化して月に帰るのを待っているだけなんだもの。五十嵐ファン(富安さんも大好きです!)としては言うことなしの美しい絵本!ソリ、ソリ、ソリ、ソリ…耳に残る。2025/09/26
まる子
20
富安陽子さん、どうした⁉️竹取物語のオマージュ(敬意はあるはず!)だろう。かぐや姫の変態しすぎ版。月の周りを飛び星に卵を産みつける月虫。この虫の幼虫は徐々に人の形に化けて竹の中で発光する。それは美しい姫に育つものの、元が虫なので人間の男性、高価な贈り物に興味を示さない。十三夜にはまゆを出し、十五夜にまゆから出てくる。そして虫の形で月へ。表紙画の緑も怪しさを感じるけれど、帯を取ったら…ワオっ😅ソリ、ソリ、ソリ…。2025/09/11
anne@灯れ松明の火
19
新着棚で。敬老会で読んだ。大人向けの絵本。「ソリ、ソリ、ソリ、ソリ」という擬音が頭に残る。「だって、虫だからね」のセリフが笑いを誘う。期待通りの反応! 裏表紙の飛行場の風景で、「これ、現代にもあり得る?!」とドキッ! 「〇〇の新解釈!?」と紹介すると、「〇〇を知っているからこそ面白いんだね」とか、「登場人物を現代人で描いたら、もっと面白かったかも」とか、いろいろ意見が出て、盛り上がった。 5:502025/09/20
Bo-he-mian
14
おおおおお〜! と思わず唸ってしまった。ネタバレ全開で行きますスミマセン。高畑勲監督の『かぐや姫の物語』(2013)を観た時、絵はすんばらしいけど、実は期待していたのは、高畑さんならではの竹取物語に対する解釈だったのだけど、その部分はあまりにオーソドックスなままの竹取物語で、ちょっと拍子抜けだったんだよなぁ。で、それに対する「回答」が本作なのだ、というのがアッシの解釈。なぜ絵を五十嵐大介さんが担当しているのかという事も、一読して頂ければ判ると思います。きりりと引き締まった、微塵の無駄もない傑作。
たくさん
2
ムシというものに対する理解が強く竹取物語というものは緻密な描写でなくありえない話なので、こういう解釈としても成り立つ、むしろこういうもののほうが真実に近いのではないかっていう仮説としても成り立つ。絵からも竹取物語の切なさとおいうものともマッチした絵の切なさが感じられ、ハッピーエンドでないようなものは伝えたいことというものを考えさせられます。2025/09/14