出版社内容情報
『線は、僕を描く』の著者が描く、「水害」と「消防」その闘いと涙。
魚鷹が見守る町で、秋月龍朗は最高の消防士だった。五年前のあの日、濁流が町と彼の心に、癒えない傷跡を刻むまでは。現場を追われ、辿り着いた指令室。そこは、同じ痛みを抱える仲間たちと、声だけで命を繋ぐ場所。炎の中から命を救ってきたその手で、男は今、受話器を握る。
町と、そして自分自身の再生をかけた静かな闘いが、いま始まる。
【目次】
内容説明
魚鷹が見守る町で、秋月龍朗は最高の消防士だった。五年前のあの日、濁流が町と彼の心に、癒えない傷跡を刻むまでは。現場を追われ、辿り着いた指令室。そこは、同じ痛みを抱える仲間たちと、声だけで命を繋ぐ場所。炎の中から命を救ってきたその手で、男は今、受話器を握る。
著者等紹介
砥上裕將[トガミヒロマサ]
1984年生まれ。水墨画家。「線は、僕を描く」で第59回メフィスト賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
155
最高で最強の消防士だった秋月の再生の物語。現場ではなく指令室のお仕事小説でもあった。何度も嫌な汗が出てドキドキしながらの読書だった。砥上さんは心に傷を持った人間を描くのが上手いね。これでもか~って、あからさまな傷ではなくその瘡蓋はいつか乾くかもしれないのに、早く乾かしたいがゆえについ引っ搔いてしまう・・そんな感じを受け取ってしまう。その時自分に何が出来たろう・・救えた命と無念にも救えなかった命。人命救助を仕事と割り切って勤めるには、命が重い。彼らもまた命がけなのだという事を再認識させられる。2025/12/12
美紀ちゃん
123
マメの話でグッときた。砥上さんは泣かすの上手いよね。泣くのを誤魔化すために腕立てをしたくなる消防官って素敵。110番通報の電話をかけてくる人はとにかくみんな慌てている。場所や状況を正確に聞き取り1分以内に出動できるのが理想だがそうはいかない。やり取りや受け答えというより表現を聞き取る作業。相手の言葉の叫びや嘆きの中から推測しながら何とか聞き出した不可視な情報の集積。しかしその1秒が要救助者の生死を分ける。ジムの器具について「美しい筋肉を創りたければ、そっと置け」ジワる。守る仕事をしている人は素敵です。2026/01/23
おしゃべりメガネ
113
砥上さんが綴る消防士さんの話。シリアスなトーンながら、グッとくる人間ドラマもしっかりと書かれています。火災の現場に臨場した描写もリアルですが、やはり本作の最大の魅力は登場人物達、それぞれのキャラがしっかりとしているコトかなと。主人公「秋月」は現場では無敵のスーパーヒーローですが、指令室に配属となり、慣れない仕事に悪戦苦闘しています。そんな彼と同じ職場になった三名のメンバーもそれぞれ個性的で、彼らとの繋がりが人情味溢れてきます。「秋月」には人には明かせないワケありな悩みがあり、苦悩する姿がまたリアルでした。2026/01/13
星群
102
初読み作家さん。〝馬鹿みたいに優しくあれ〟第一話印象では、ちょっと渋めの方かなと思いながら読み進めたら、第二話の冒頭で空中をオジサンが飛んできたの文面を目の当たりにして、あぁお茶目な方なんだと認識しました。後輩の桜庭ちゃんがとんでもなく人懐こい大型犬に見えて仕方ない。私も、馬鹿みたいに優しくありたいと思います。2026/01/15
itica
93
最善を尽くしても救えない命がある。自らも危険に晒されながら後悔の念に駆られてしまう。あまり知られることはないが、瞬時に判断を求められる指令室の仕事もまた緊張を伴う。消防士とは何と過酷な職業だろう。誰もが一目置く消防士の鑑のような主人公も水害のトラウマを抱え、密かに苦しんでいる。鍛え上げた肉体と精神を持っていても、彼らだって制服を脱げばただの人に過ぎない。この本を読めたことに感謝したい。消防士の仕事を掘り下げて意識を向けられた有意義な読書だった。 2026/01/25
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