出版社内容情報
音楽が鳴り響くとき、彼の世界は新しい光につつまれる──。
ケガで職を失った父と暮らす中学3年生の巧海。生活費に事欠くなか、年上の友人・アマロと「バイト」──夜な夜な自転車の窃盗──をくり返し、金を稼いでいた。いつものように自転車を盗んだその朝、巧海はトラックに積まれたピアノと、そのそばに座る男と出会う。
……弾く?
弾くって。ピアノのこと……?
そこから、巧海の世界は少しずつ動き始める!
【目次】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まる子
18
職場事故で障害を負った父と暮らす中3の巧海。頼るは父の障害者年金10万円。父はそれを酒やギャンブルに使い込み、巧海は闇バイトに…。心の中では父に「頼むから死んでくれ」と思う日々の中で、彼が目にしたピアノ、押し入れから出したピアニカ、音を奏でた時に彼の中で何かが変わろうとしていたー。彼が大人に頼ることが出来なかったのは周りにそのような人がいなかったから。しかし彼には「生まれてきただけでサイコー、尊い」と、それが子どもの権利である事を教えてくれた人に出会った。巧海のこれからが輝きに満たされますように。2025/07/30
ジジ
5
父親が仕事中に左指を全部切断したことによって職を失い、荒れた結果、母親と妹は家を出てしまい、酒とパチンコに溺れる父を支えるのは中学3年生の主人公の巧海。 父親の障害年金(10万円)では生活ができず、万引きや自転車を窃盗して売る「バイト」を繰り返してなんとか食いつないでいた。 そんなある日、巧海は音楽と出会い、世界の見え方が変わっていく。 というお話。2025/08/04
遠い日
3
貧困の極み。格差の極み。自分ではどうしようもない暮らしの中で、嘯きながら「チェック」を繰り返し、「バイト」と呼ぶ窃盗を繰り返す中3の功海。強烈なパンチをどのページからも浴びながら、苦しさに喉を詰まらせながら読んだ。巧海のことばにできない諦観。彼を取り巻く人々との関わりが切れずに続いてくれと祈るばかりだった。巧海に音楽を知らしめた機会のなんと鮮烈だったことか。頼っていい。縋っていい。大人を使え、巧海。これからの未来は自分のために生きろ。ラストの光はかけがえのない希望だ。2025/07/31
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