出版社内容情報
花のみやこか、懐かしきふるさとか――。日本列島の文化の歴史は、海の外からやってきた最新の情報があつまる都会への憧れと、生まれ育った郷土への思い入れのはざまで紡がれてきた。奈良、京都、のちには江戸・東京という「みやこ」に対する「地方」の憧れと反発、さらに中国大陸や欧米という「中央」に対する「辺境」日本の憧れと反発という二重の交錯を見据え、そこに織りなされる綾を丹念に描き出した唯一無二の列島文化史。
夷なる日本が華なる中国に劣らないと主張した京都生まれの伊藤仁斎と、関東出身で田舎固有の文化に価値を見出し江戸学芸を京から自立させた荻生徂徠。日本文化や日本的なるものの一貫性を否定した内藤湖南と「国史」の範囲に苦悩した黒板勝美。日本文化が基底のところで一体のものであることを前提にしたことで「郷土を捨象した」と批判された、民俗学の父・柳田国男が敬意をいだいていたのは、田舎に「いにしえのみやび」を見出した本居宣長だった。
古代の青銅鏡が示す畿内王権や記紀神話にはじまり現代にいたるまで時代を縦横無尽に扱いながら、独自の視点で日本文化の形を照らし出す。(原本:平凡社、1991年)
【本書の内容】
はじめに
第一章 都市の論理――先進・後進論の背景
第二章 反都市文明――「地方」主張の論理と背理
第三章 国家という単位――単一の「国」と「くに」の複合
第四章 民衆知と文字文化――ひとつの試み
あとがき
解 説(長﨑健吾)
内容説明
日本の文化の歴史は、外来の最先端の情報が集まる都への憧れと、生まれ育った田舎への思い入れのはざまで紡がれてきた。奈良・京都や江戸・東京という「みやこ」に対する「地方」の憧れと反発、さらに中国大陸や欧米という「中央」に対する「辺境」日本の憧れと反発。この二重の交錯を見据えて描き出される唯一無二の列島文化史。
目次
第一章 都市の論理―先進・後進論の背景(先進ということば;都市的世界 ほか)
第二章 反都市文明―「地方」主張の論理と背理(独自文化の主張;「地方の時代」と地方史研究 ほか)
第三章 国家という単位―単一の「国」と「くに」の複合(「お国」と「くに」;国家と文化の連続性 ほか)
第四章 民衆知と文字文化―ひとつの試み(「漢才」と「やまとだましひ」;学問とフォークロア ほか)
著者等紹介
塚本学[ツカモトマナブ]
1927年福岡県生まれ。東京大学文学部卒業。国立歴史民俗博物館名誉教授。専門は日本近世史、地方史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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