出版社内容情報
最高。何度も何度も読んだ。この小説を読み直すためにだけでも、十年先まできっと生きていたい。ーー斎藤真理子
『続きと始まり』『百年と一日』が話題の柴崎友香による全く新しい「探偵小説」
「世界探偵委員会連盟」に所属する「わたし」は、ある日突然、探偵事務所兼自宅の部屋に帰れなくなった。
急な坂ばかりの街、雨でも傘を差さない街、夜にならない夏の街、太陽と砂の街、雨季の始まりの暑い街、そして「あの街」の空港で……「帰れない探偵」が激動する世界を駆け巡る。
【目次】
内容説明
「世界探偵委員会連盟」に所属する「わたし」は、ある日突然、探偵事務所兼自宅の部屋に帰れなくなった。「帰れない探偵」が激動する世界を駆け巡る。
著者等紹介
柴崎友香[シバサキトモカ]
1973年、大阪府生まれ。99年「レッド、イエロー、オレンジ、オレンジ、ブルー」が文藝別冊に掲載されデビュー。2007年『その街の今は』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、織田作之助賞大賞、咲くやこの花賞、10年『寝ても覚めても』で野間文芸新人賞、14年「春の庭」で芥川賞、24年『続きと始まり』で芸術選奨文部科学大臣賞、谷崎潤一郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さてさて
118
『十年前、生まれ育った街を離れてから、わたしはずっと「一時的に」どこかにいて、また別のどこかへ移っていく』。そんな思いの先に、世界各地の街へ転々と移り暮らしていく主人公の『わたし』。そこには、『フリーの探偵』として生きていく『わたし』の「帰れない探偵」としての興味深い日々が描かれていました。絶妙な近未来の描写に、ときめきを感じるこの作品。『探偵』という”お仕事”の大変さを思う一方で、『帰る』という言葉の意味をふと考えてもしまうこの作品。ハマると沼から抜け出せなくなりそうな魅力をまとった印象深い作品でした。2025/06/26
ユウハル
10
探偵小説だった。探偵を描いた小説。今から十年くらいあとの話。地球のどこかの国々で探偵という仕事をしているわたし。帰れないとはどういうことなのか、世界はどうなっていくのか。すべてが謎めいていてつかみどころがない。そこがとても魅力的に感じた。新しい「探偵小説」というジャンル爆誕!!「わたし」が帰れる日が来るのだろうか。あの国に住む人たちはどう変わっていくのだろうか。どんどん想像が広がっていき止まらない。2025/06/25
ほたる
8
多くの人々との交わりがあったり、色々な場所での風景に感銘を受けたり、「帰れない」中での体験の描写の豊かさに魅了される。目に見えたことや耳に聴こえてきたことに、ふとした瞬間に雷に打たれたような衝撃とともに感動で震える。とても良い小説で、文章に引き込まれた。2025/06/29