出版社内容情報
テリーが死んだ。知らせを受けて帰ったカリフォルニアは人も街も少しずつ変わっていた。「おまえのようになりたかった」と告げる亡き兄からの手紙にはげしいショックを受けるヒース。自分を捨てて去った母親との再会。家族を拒否していた心がほぐれていく。一方ニューヨークでは、ヒースをめぐるイーヴとスウェナの三角関係が緊張の限界に達していた。そして、イーヴが出ていった。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
匠
60
この3巻、とても良かった。展開としては必ずしもハッピーなものではないけれど、災い転じてという感じで。ヒースの父親、生き別れて記憶にも残っていなかった母親の真実が垣間見え、ヒースを想う気持ち、そのあたたかさに嘘がなかったのが、とても救いだった。イーヴのことやアパートの他の居住仲間のこととか、いろいろ心に残るエピソードも多くて読み応えもあり、巻末に寄せられた大浦みずきさんのエッセイの中、この物語が吉田先生20歳の時の作品だと知ってものすごく驚いた。それにしても、イーヴがせつない。彼には幸せになって欲しい。2013/06/02
hiro
49
第三巻は、ブッチが起した騒動で、負傷したイーヴの治療のため、ギャラハン先生がNYまで来てくれたところから始まる。NYでのヒースと兄テーリー夫婦との再会、そのテーリーの交通事故のため、ヒースのサンディエゴへの帰郷、さらにNYに戻ってきたヒースと、物語の舞台はアメリカの東、西、東と目まぐるしく変わる。その間、ヒースが家族と再会を果たし関係を修復して、成長していくのがわかる。この後、ヒースとイーヴとの関係がどのようになっていくのか、第四巻が楽しみだ。2016/07/02
青龍
15
中古書店で購入して、久しく積んでいました。連載中に(部分的に)読んだあと、コミックで既読。この当時、「青春」の暗い部分までを描いた作品(特に少女漫画)は、そう多くなく、この後の「banana fish」に続く作者の世界が作られていく様子が伺えます。2015/05/09
モルテン
10
カリフォルニアに戻るヒース。変わりゆく故郷と別れ、再びNYへ。この後の吉田秋生作品のほとんどがこの作品に詰まっているのではないかと思う。「あ、このシーン、あの作品でも見た」が何度も。個人的に、「好きで好きでどうしようもないのに、不安で仕方なくなる」のセリフに胸が締め付けられた。これです。私の好きな吉田秋生はこれです。恋の不安、辛さ、切なさ。後期作品から消えてしまう、この、切ったら血が出るような生々しい切なさ。私の好きな吉田秋生。2021/01/30
yuuuming
7
青い春だね~2013/01/04