出版社内容情報
警察、地方、厚生労働、国土交通、神社…、巨大すぎる「省庁の中の省庁」を通史と多様なテーマで論じ、近代日本を考える決定版!
内容説明
民主主義の敵か、近代日本の立て役者か―。人々の生活全般を所管し、他の省庁を圧倒した「省庁の中の省庁」は、いかに生まれ、いかに衰退していったのか。近代日本の政治と行政のあゆみを辿りながら、現代日本の淵源ともいうべき巨大すぎる官庁の実像を描き出す。
目次
序論 内務省―政治と行政のはざまで
通史編(「省庁の中の省庁」の誕生―明治前期;内務省優位の時代―明治後期~大正期;政党政治の盛衰と内務省―昭和戦前期;内務省の衰退とその後―戦中~戦後期)
テーマ編(近代日本を支えた義務としての「自治」―地方行政;戦前の「国家と宗教」―神社宗教行政;権力の走狗か、民衆の味方か―警察行政;感染症とどう向き合ってきたか―衛生行政;河川・道路政策の展開と特質―土木行政 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえぽん
47
日本政治史研究者による研究会のメンバーが、通史編とテーマ編で内務省の全体像を分析・紹介した本。同省は近代日本の政治・行政全般の象徴と考えられるのに研究蓄積に乏しく、現代政治・地方自治研究との接点も薄い点に問題意識がある。大蔵省から分離した黎明期はまだ省庁の中の省庁と言える状況にはなく、明治後期〜大正期の同省優位の時代を経て、政党政治や各省、軍との軋轢の中で、昭和期に衰退傾向に陥る流れが理解できる。各行政分野においても戦前からの連続的な制度発展が分かる点に加え、際立つ政治家や官僚の生き様も垣間見える意欲作。2025/04/30
どら猫さとっち
13
内務省。日本で一番肝心な巨大官庁。その歴史を辿った研究書。地方行政、警察行政、土木行政、衛生行政など、今の日本社会を支える官庁。歴史として興味深く読んだが、現在この機関はちゃんと機能しているのか、疑問視することも読み終えてある。大久保利通といった幕末の人物から、伊藤博文や原敬などビッグネームが名を連ねていながら、名も知らない人たちの活躍も、内務省を支えたことも忘れてはならないことである。2025/06/11
とり
6
内務省は日本にかつて存在した行政機関で、現在の行政機関では、国土交通省、総務省、厚生労働省、警察庁に相当し、内務大臣は副総理の格式を持った官職とみなされていた。戦後、巨大省が再び治安統制に乗り出すのを防ぐため、GHQが解体した。内務省関連書類は、関東大震災や終戦時焼却でその6〜7割が失われている。本書は「内務省研究会」という研究コミュニティが25年間にわたって継続した研究活動の成果をまとめたものである。初学者向けのわかりやすい記述ではあるが、入門書というにはかなり分厚い本である。2025/06/17
Ra
3
内務省は警察行政+地方行政+αと捉えがちであるが、当初の主眼は勧業行政にあったこと(しかし商務行政に野心のあった大隈の干渉により勧業行政を手放した)、内務省の新設と大蔵省の分割は表裏一体関係にあったこと(ゆえに大蔵省を超えられず、また大蔵省に干渉されたが、1875年の火災を契機とする物理的分離から独立性が漸進した)、日露戦争後に経済政策面で他省庁が内務省依存を強め、人材面での依存と相まって内務省の優位、「内務省による平和」が形成されていたこと(しかし大正時代以降の「官僚の専門化」に伴い影響力が低下した)、2025/05/19
onepei
2
近代化の過程での権限集中は必然であったと思う2025/06/22
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