出版社内容情報
母との相克から宮中女官を目指して、試用期間中の海棠妃奈子は
今上の叔母・涼宮に付き添って女子医専を訪ねる。
寄付を募るための講演会に、教授の世津子に請われて涼宮が登壇したのだ。
そこで妃奈子は、同級生の初音と再会する。
最初こそぎこちなかった二人だが、たがいの実家での境遇に興味を抑えきれずに、
最後は腹を割って話しあう。
華族学校時代のフラストレーションと反省を共有した二人は、友情を深めあう。
内容説明
母から逃れ、宮中女官となって半年。海棠妃奈子は、医師を目指す元同級生・須藤初音と再会する。初音は、父親の反対で実家に連れ戻される危機を脱し、妃奈子の親友となる。一方、純哉への思慕は変わらぬものの、彼と両親の健全な親子関係に嫉妬している自分に、妃奈子は動揺する。そんな折、賓客の通訳として帝国博物館を訪れ、思いがけず純哉の好意に触れることになり―。
著者等紹介
小田菜摘[オダナツミ]
沖原朋美名義で『桜の下の人魚姫』が2003年度ノベル大賞・読者大賞受賞。2004年『勿忘草の咲く頃に』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
真理そら
45
月草の内侍や純哉の身の上と物語の進展がうまくリンクしすぎているようにも思うが、その分読後感はすっきりしたものになる。ま、上流階級の物語なのでリンクしていても不自然ではないかも。帰国子女の悩みや学びの方向性を見つけて成長していくヒロインが気持ちいい。宮中の物語なので大正ロマン的な要素が少ないのが寂しいが珍しい題材なのでシリーズの続きが楽しみだ。2025/05/25
よっち
21
母から逃れ、宮中女官となって半年。試用期間中の海棠妃奈子は、教授の世津子に請われて今上の伯母・涼宮に付き添って女子医専を訪ねる第2弾。元同級生の初音と再会して、最初こそぎこちなかったものの、お互いの実家での境遇に興味を抑えきれず、最後は腹を割って話しあう妃奈子。そこからのこの時代の女性の扱いを垣間見るような展開でしたけど、そんな人たちばかりではなかったことには救われますね…。今回をきっかけに妃奈子が意識している純哉との絆も深まった感がありましたけど、帝からの期待もあって今後の展開が楽しみになってきました。2025/06/09
み
19
2作目で、ますます女子の大変さが増しました。とはいえ、時代に負けない方々が増えて楽しさアップです。2025/05/26
きょん
12
シリーズ2作目。今回は通訳として他国の文化も自国の文化も理解を深める必要性を実感する妃奈子の仕事面の成長とともに、様々な人の親子関係の苦悩が描かれる。貧乏貴族令嬢が裕福な老人に嫁がされるありふれた悲劇を逆手に取る女子医学生の潔さが爽快。産みの母と乳児期に引き離された青年二人の対照的な人間性に、やはり育ての親が重要なんだと再認識。家父長制の理不尽に、つくづく現代に生まれて幸せだと思う。そしてやはり、女性が搾取虐待されないためにものをいうのは経済力、というのも昔も今も変わらないのね。2025/05/24
あつ
2
★★★★★2025/05/15
-
- 和書
- イタリア古代山岳王国悲歌