出版社内容情報
かつては名うての博徒、今や寂れた蕎麦屋の銀平。最期に挑むは自らの生を賭した大博奕。人生の黄昏に涙する、時代小説の新たな傑作!
文庫シリーズ『落としの左平次』も大好評の著者、第26回大藪春彦賞受賞作!
たとえ落ちぶれようと、塵芥のように死んだとしても、一生懸命に生きたという事実は変わらない。ちっぽけな存在でも、誰かのために命を燃やすことができる。ひとりの男の生涯を通じて、作者は人間の生きる意味を謳い上げているのである。
細谷正充(書評家)――本書解説より
内容説明
名うての博徒も今は昔。本所で寂れた蕎麦屋を営む銀平を病が襲う。残された日を静かに暮らすが、別れた妻が現れ、訳ありの若衆が転がり込むなど、因縁からは逃れられない。にわかに大金が必要となり、五年に一度の“八州博奕”に臨むことに―。人生の黄昏に涙する傑作時代長編“第26回大薮春彦賞受賞作”。
著者等紹介
松下隆一[マツシタリュウイチ]
1964年、兵庫県生まれ。京都の松竹撮影所内にあった伝説の「KYOTO映画塾」を卒業後、脚本家になる。「二人ノ世界」が第10回日本シナリオ大賞佳作入選、2020年7月、林海象プロデュース、永瀬正敏主演で映画化公開。『羅城門に啼く』で第1回京都文学賞最優秀賞、『〓』で第26回大藪春彦賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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コニタン
6
この作品を読み終わって、ちょっと気が重かった。博打には勝ったが、人生最大の危機は、勝利の瞬間にあると言う事だなぁ。2025/06/02
南雲秋人
0
珍しく江戸時代を舞台にした小説でしたが、これがとても面白く、思わず驚かされました。 文字が大きく、ページ数も少ないため、すぐに読み終わるだろうと予想していたのですが、内容は非常に濃密で、読み応えのある一冊でした。 読み進めるうちに物語の世界に引き込まれ、ずっとその中に浸っていたくなるような、そんな魅力に満ちた作品です。 たまには、時代小説を読んでみたい、そう思う方には、ぜひおすすめします。2025/08/26
烏骨鶏
0
橋のたもとで儲けの出ない程度に営む蕎麦屋。訪れる常連客もそこはかとなく生に疲れた感じで、ふと起きた出来事もやりきれない方向へばかり流れていくのだが、その心の動きが私達市井に生きる人のありのままかも知れないなどと思う。 作中人物につい幸運を願ってしまうけど、そうじゃない展開が読後もなんだか胸にしみる。2025/08/23
ナオ
0
この題材で長編小説が書けるところがすごい。2025/03/18
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