出版社内容情報
月見の日に起きた怪事件。別式女筆頭の巴は前筆頭と二人で、凶刃をふるう浪人者に立ち向かう──早くも話題の人気書下ろし時代小説!
8月15日の月見の宴の日、巴は前任の別式女筆頭・世津のもとを訪れた。品川の海に近い高輪の邸、老舗菓子屋・大和屋の別邸に。世津は2年前にその大和屋の主人に嫁ぎ、後任の筆頭に巴を推挙してくれたのだった。宴の料理を食べたあと二人で邸の外に出ると、強い殺気を帯びた胡乱な男に出くわす。三十歳半ばの浪人者のようだ。元別式女筆頭と現筆頭は、自然と男のあとを尾けることになった……。
内容説明
「別式女」とは藩の奥向きを守る女武芸者のこと。その筆頭の万里村巴は、月見の宴の日に前任の世津のもとを訪れた。世津は二年前に老舗菓子屋の主人に嫁いで、後任に巴を推挙してくれたのだった。宴のあと外に出ると殺気を帯びた浪人に出くわし、二人は男のあとを尾けることに…。
著者等紹介
三國青葉[ミクニアオバ]
神戸市出身、お茶の水女子大学大学院理学研究科修士課程修了。2012年「朝の容花」で第24回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞。『かおばな憑依帖』と改題しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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はつばあば
37
ほこほことする内容でほんといい本を読ませてもらいました。月見には月見の、後の雛にも紅葉狩りにも音次郎の巧みな手料理の数々に誠之助のほわんとした可愛い悪だくみ、別式女筆頭の母親の巴をも手玉に・・聡い子です。今の世の中もそうですが女が働くにはそれなりに夫や家族の助けと理解がなければ。昭和の亭主関白にあこがれる男性も多いでしょうが、さて老後独りになったとき・・何ができるでしょうか( ̄ー ̄)ニヤリ。巴の部下の別式女の夫候補、それなりに面白い人物でした。この続きがあってもいいなぁ💛。2025/01/20
ユエ
18
前巻、特に響くものはなかったのにまた読んでしまったのは何故だろう?と考え、当時の世ではマイノリティだったろう万里村一家が、仲良く喧嘩しつつも楽しく暮らしている様に癒されるからかなぁ、などと。別式女筆頭として夫の音次郎より稼いでいる巴。スパダリという訳ではなく、文句は募りつつも息子可愛さに飲み込んで、部下を差配しながらお役目を果たし…でもやっぱり母であり女でもあると。等身大の感じがいいのかな。2025/02/22
小梅さん。
11
あぁ、働く女性の悩みはいつの世も、、、 でも、巴の周囲には、それを助け合える仲間がいる。 なんて素晴らしいことだろう。 部下の縁談を機に色んなことが起こって、仲間も同じ悩みを抱えることを知ることができて本当によかった。 そして、彼女たちの相手が、また、なんてできぶつなんだろう。この時代で、職業婦人、中でも別式女を好きになるっていうのは、そういうことも受け入れる度量がある、ということかな。たぶん、ものすごく少数派なんだろうな。 由利姫も大好き。わがまま放題でない、ひたむきで健気な姿が素敵。 2024/12/18
よっしー
5
シリーズ2作目。今回は巴以外の別式女も出てきて、巴の慕われぶりやお仕事描写もあってとても良かった。後は由利姫にも幸せになって欲しい!そして(料理はともかく)本人の出番が少ないせいか夫の屑っぷりは鳴りを潜めていたものの、代わりのように巴に突っかかっていた数馬の無能っぷりがこれでもかと出てきて何だか笑ってしまった。これで大人しくなって欲しいけどね…。2025/07/19