出版社内容情報
辛い過去も、厳しい現実も、その一瞬先に光があるんだ。
新人視能訓練士・野宮恭一は北見眼科医院で働き始めてから失敗続き。目に異常がないのに視力が低下した少女、カラコンを頑なに外さない女性、緑内障を患った元ピアニスト――。様々な目の悩みを抱えた患者と心を通わせながら、少しずつ成長していく。
不器用だけどまっすぐな、新人視能訓練士の成長の記録。
最高の読後感がじんわりと心に沁みる、いま最も心温まる連作短編集。
内容説明
新人視能訓練士・野宮恭一は北見眼科医院で働き始めてから失敗続き。目に異常がないのに視力が低下した少女、カラコンを頑なに外さない女性、緑内障を患った元ピアニスト―。様々な目の悩みを抱えた患者と心を通わせながら、少しずつ成長していく。『線は、僕を描く』の作者が贈る、光あふれる物語。
著者等紹介
砥上裕將[トガミヒロマサ]
1984年生まれ。福岡県出身。水墨画家。『線は、僕を描く』で第59回メフィスト賞を受賞しデビュー。同作はブランチBOOK大賞2019受賞。2020年本屋大賞第3位に選出された(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
荒川叶
37
当たり前のように目から情報が入ってくるわけじゃない。 目の構造は複雑で、ある時急に見えなくなる事もある。 心因性や機能性、色々あるけど普段私たちはどれだけ目の情報を頼りに行動しているのか、見えている一瞬一瞬を大切に過ごしていきたい。2025/01/05
PEN-F
37
最近こちらの続編が出たようなので、あたりまえだがこちらを先に読んでみました。さすが砥上さんです。若者の成長譚を描くのがホントにうまいなぁってしみじみと感じております。続編を読むのが楽しみです♪2025/01/02
おかだ
28
めちゃめちゃ良かった。今まで何度もお世話になっている、けれど知らなかった視能訓練士というお仕事の小説。見える事は奇跡、当たり前と思っちゃいけないな。特に私のような超強度近視で毎日コンタクトレンズ使ってるような奴は。コンタクトのやつ、すごい怖かった。この本読み始めてから眼鏡で生活してます…。ほんと、目は大事にしないと。作者・砥上さんの妹さんが視能訓練士との事。こんなに愛に溢れた真摯な作品を書いてくれる兄が何よりも羨ましかったわ。素敵な兄弟やん…。砥上裕將さん、良い小説書くなぁ。2025/07/31
綾@新潮部
27
これ単行本の時から読みたかったのに、文庫化を待ってしまった。不器用で失敗続きの新人視能訓練士・野宮くんの成長物語でもあり、眼科医院の院長や同僚の厳しくも温かい言動が良かった。患者さんたちの苦悩や病状・症状などを読むにつけ、最近よく見えないなぁ、目が痛いなぁと思っていたのに放置していた自分も眼科に行かなければと思うようになり速攻で眼科に予約を入れた。目の病気の怖さもあったが、看護師さんとは違う視能訓練士の仕事を知ることができて、眼科に行くのが楽しみになってきた。続編も出たようなので単行本買うぞ!2025/01/02
seba
26
それは人間の眼球の重さ。非常に精密で小さなこの器官は奇跡のような賜物で、ものが見えるということは決して当たり前ではないのだと思い知らされる。北見眼科医院に採用となった、新人視能訓練士の野宮。よく身体をぶつけたりと不器用なところはあるが、着実に成長を遂げている様子。相手の目を真っ直ぐに見て素直な接し方を心掛ける彼だから、経験が少ないながらも患者の抱える本当の原因に近付くことができた。紋切り型の検査だけでは診断できない。「自信と疑いとの間でバランスを取る」という心構えは、何事にも通ずる誠実な考え方だと思った。2025/07/04