出版社内容情報
第168回芥川賞受賞作!
娘たちが幼い頃、よく一緒に過ごした近所のショッピングセンター。
その喪服売り場で働く「あなた」は、フードコートの常連の少女と知り合う。
言葉にならない感情を呼びさましていく芥川賞受賞作「この世の喜びよ」をはじめとした作品集。
ほかに、ハウスメーカーの建売住宅にひとり体験宿泊する主婦を描く「マイホーム」、
父子連れのキャンプに叔父と参加した少年が主人公の「キャンプ」を収録。
内容説明
娘たちが幼い頃、よく一緒に過ごした近所のショッピングセンター。その喪服売り場で働く「あなた」は、フードコートの常連の少女と知り合う(「この世の喜びよ」)。少年は、子どもがいない叔父とともに、父子連れのキャンプに参加する(「キャンプ」)。第168回芥川賞を受賞した表題作を含む、傑作小説集。
著者等紹介
井戸川射子[イドガワイコ]
1987年生まれ。関西学院大学社会学部卒業。2018年、第一詩集『する、されるユートピア』を私家版にて発行。’19年、同詩集にて第24回中原中也賞を受賞。’21年、『ここはとても速い川』で第43回野間文芸新人賞受賞。’23年、本書で第168回芥川賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
クプクプ
65
井戸川射子さんの本を読むのは2冊目です。流石に芥川賞受賞作、自信を持って書いています。小説の中で、著者の世界がハッキリと完成しています。フードコートの喪服売り場の店員さんのことを、少し工夫して描いています。そんなに大きな事件が起きるわけではなく、予想できる範囲のことが内容ですが、著者は私にとっては異性であり私と異なり、お子様がいて、国語の教師をしていた経験もあるそうなので、読者に合わせて文章を書いているわけではないのに私の中の記憶を引き出して読み応えがありました。若い頃の川上弘美さんの世界を連想しました。2024/11/28
YO)))
18
表題作はショッピングセンターの喪服売り場で働く、子育てを終えつつある二児の母親でもある女性のことを「あなた」として二人称で書かれた小説で、中々凄いというか稀有な読書体験が得られた。何が凄いかというと、只管「あなたは〜した」と呼びかけられることで、読んでいる私が主人公の女性と同化してしまうことで、娘から言われた心ない一言に傷ついたりして、あぁ、母親とは子供にとっては何か「無神経な言葉をぶつけても大丈夫な存在」に思えるかもしれないけど、ホントはそんな訳ないのよ、と自分のこととして気づいたりしてしまうわけです。2024/11/11
イシカミハサミ
17
第168回芥川賞受賞作。 表題作に加えて、 「マイホーム」「キャンプ」の2短編を収録。 正直、本作は芥川賞の悪いところが出たようにしか感じられなかった。 終始なぜそうなるのかがわからない展開。 展開に変化球があればあるほど大きな見返りが欲しくなるけれど、それも特になし。 収録されている3作を読んで、 なんとなくひとつひとつのモチーフに 共通する作者の思いが込められている雰囲気は感じたのだけれど、 そうなると芥川賞は作品ではなく作者に与えられた?と、穿ちたくなる作品だった。2025/06/10
しばこ
9
落ち着かない感覚があるけど、サラッと進んでいく話という印象。2025/06/29
ふうふう
9
★★☆☆☆芥川賞を読むことをタスクにしていた友人におすすめされて読む。主人公が好きになれず、流し読むようにずざざっと読了。うーん、、、うーーーん。好きじゃない。地味、退屈、人間的魅力が(私には)感じられず。この小説が好きな友人の内面世界が、わからない。 この小説は、普通じゃない主人公が、そのことに気づかず、生まれなおしている生き直しているのだと説明されたが、だから何?と感じる。2024/12/26