出版社内容情報
少年時代に姉がストーカーに殺された男、潮崎。被害者家族によりそいすぎたため、心身を壊し、若くして亡くなってしまった警察官の父を持つ女性刑事の広中。潮崎に対して、一方的に憎しみをいただいている広中は、捜査一課にいきたいという夢があった。その夢がやっとかなう。しかし、捜査一課での相棒は、信じられないことに、潮崎だった――。
介護疲れによってひきおこされた犯罪、オレオレ詐欺に、ひきこもり。巨大団地で連鎖する事件は、やがて最悪の結末をむかえる――。先読み不能のストーリーテラーが用意した、極上の物語ラビリンス。そして最高のカタルシス! 「あなた」も刑事も気づかないうちに、事件はもう始まっていた――。
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
145
バディ物のミステリにも様々あるが、これほど相性の悪い過去持ちコンビも珍しい。しかも双方とも悪を憎んで刑事に徹する覚悟なので、口を開けば衝突を繰り返す。しかし結果として捜査のプロである2人が能力を高め合い、殺人事件の裏に隠された思いがけない動機と犯人をあぶり出していくプロセスが鮮やかだ。過去の北海道警シリーズでは犯罪設定や犯人の造形で物足りなさがあったが、今作は社会性と謎解きの両面で成功している。また陰惨な事件を描きながら、生きにくさを抱えて苦しむ関係者の復活劇が気持ちいい。この方向を進めば成功するだろう。2025/05/20
いつでも母さん
127
ちょっと長いかなぁ。でも、タイトルほど最悪感は感じなかった。ナイスバディで次もありそうな・・?怪しいと思った奴はやっぱりね(たまには私も)が、そっち絡みか(←どっち?)璃子ちゃんが可哀想。明石もちょっと気の毒だった。初めから不安だったひきこもりの大地が、逞しくなって本当に良かったと思った。なんだか淡々とそんな感じ。おっと、長田くん、ガンバレ~!やっぱりちょっと長いわ。2025/05/30
のぶ
71
初めて読む作家さんでした。期待して読んだけれど正直がっかりでした。興味深い要素はたくさんあるのに、話を広げすぎているのと、登場人物が多くて混乱することが多く、章立てが大きいので、話が続いているのか、回想しているのか、分かりづらかったし、バディも今ひとつ魅力的に思えなかった。ラストの回収も物足りなく感じた。次作を読むかどうかは疑問です。2025/05/27
hirokun
46
★3 被害者支援に力を入れ始めている警察活動をテーマにした作品。表題にある「最悪の相棒」というのは、そんなことはないですよねという印象。警察バディもの小説として楽しませてもらった。私は警察小説が好みだが、今回の作品は犯罪被害者の視点が、ストーリ展開の中で重要な要素を担っており、新たな視点として興味深いものがあった。2025/06/20
よっち
30
念願の捜査一課に配属された女性刑事の広中。しかし皮肉にも彼女が一方的に憎しみを抱いていた潮崎の相棒となってしまい、2人で事件を解決していくミステリ。少年時代に姉をストーカーに殺された潮崎と、被害者家族に寄り添い過ぎて心身を壊し、若くして亡くなった警察官の父を持つ広中。そんな2人が介護疲れで引き起こされた犯罪やオレオレ詐欺など、巨大団地で連鎖していく事件に挑む展開で、彼らの背景もまた浮き彫りになっていく中、マイペースな塩崎に振り回されながらもお互いを認め合い、2人の間に育まれていく絆がなかなか良かったです。2025/06/09