講談社学術文庫<br> アーリヤ人の誕生―新インド学入門

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講談社学術文庫
アーリヤ人の誕生―新インド学入門

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  • サイズ 文庫判/ページ数 248p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784065359266
  • NDC分類 829.88
  • Cコード C0122

出版社内容情報

ヨーロッパのラテン語・ギリシア語とインドのサンスクリット語に共通の祖となる、失われた起源の言語――。そんな仮想の言語の話し手として「アーリヤ人」は生み出された。そして、それは瞬く間にナチス・ドイツの人種論に繋がる強固な実体を手に入れる。近代言語学の双生児「アーリヤ人」は、なぜこれほどまでに人々の心を捉えて離さないのか。
言語学誕生の歴史から、「すべての起源」インドに取り憑かれた近代ヨーロッパの姿が克明に浮かび上がる!

「インド学」はインドで発達した学問ではない。18世紀末からサンスクリット語文献を集めてきたヨーロッパを中心に発達してきた。私たち日本人が抱く「インド」イメージもまた、近代ヨーロッパという容易には外しがたい眼鏡を通して形成されている。
植民地インドで「発見」された古典語サンスクリットの存在は、ラテン語やギリシア語との共通性から、ヨーロッパとインドに共通する起源の言語の存在を想像させた。類稀な語学の才に恵まれたイギリス人ウィリアム・ジョーンズ(1746-94年)によるこの「発見」によって、近代言語学は誕生する。同時にオリエンタリズムがヨーロッパを席巻し、『シャクンタラー姫』をはじめとするサンスクリット語文献が次々にヨーロッパで翻訳された。
その奔流のなかで『リグ・ヴェーダ』を英訳したのが、ドイツ出身で英国オックスフォード大学に職を得たフリードリヒ・マックス・ミュラー(1823-1900年)である。彼は比較言語学の成果から、『リグ・ヴェーダ』の成立年を紀元前1200年頃と推定し、「アーリヤ人の侵入」を紀元前1500年頃とした。日本の教科書でもよく知られる記述の源は、ここにある。
19世紀ヨーロッパで言語学とともに誕生した「アーリヤ人」は、20世紀にはナチス・ドイツによるユダヤ人迫害を生み、さらにはインダス文明が発見されたインドに逆流して、考古学的成果と対峙しながらさらなる波紋を生んでいく――。
近代言語学の双生児「アーリヤ人」は、なぜこれほどまでに人々の心を捉えて離さないのか。なぜ言語は常に民族という概念を呼び寄せずにいられないのか。言語学誕生の歴史をひもとくことで「起源」というロマンに取り憑かれ、東洋を夢見た西洋近代の姿を克明に描き出す。インドの実像に目を開く一冊。(原本:『新インド学』角川書店、2002年)

【本書の内容】
第1章 インド学の誕生ー―十八世紀末から十九世紀初頭のインド・カルカッタ
第2章 東洋への憧憬ー―十九世紀前半のヨーロッパ
第3章 アーリヤ人侵入説の登場ーー―十九世紀後半のヨーロッパ
第4章 反「アーリヤ人侵入説」の台頭――二十世紀のインド
第5章 私のインド体験ー――多様性との出会い
補 章 出版二十年後に

内容説明

インドとヨーロッパに広がる言語には共通の起源があるのではないか―。植民地インドでのサンスクリット語「発見」を端緒に、起源の言語の話し手として生み出された「アーリヤ人」は、瞬く間にナチス・ドイツの人種理論に繋がる強固な像を手に入れた。言語学誕生の歴史を追跡し、「すべての起源」インドに取り憑かれた近代西欧を克明に浮かび上がらせる!

目次

第1章 インド学の誕生―十八世紀末から十九世紀初頭のインド・カルカッタ(ウィリアム・ジョーンズと言語学の誕生;ベンガル・アジア協会とウィリアム・ジョーンズに対する評価)
第2章 東洋への憧憬―十九世紀前半のヨーロッパ(オリエンタル・ルネッサンスをになった人々;印欧比較言語学の確立)
第3章 アーリヤ人侵入説の登場―十九世紀後半のヨーロッパ(系統樹説と印欧語族の故郷;マックス・ミュラーと「アーリヤ民族」)
第4章 反「アーリヤ人侵入説」の台頭―二十世紀のインド(インダス文明の発見と南アジア考古学の発達;一九九〇年代以降の反「アーリヤ人侵入説」とヒンドゥー・ナショナリズム)
第5章 私のインド体験―多様性との出会い(インド少数民族研究;私のムンダ語・ムンダ文化発見)
補章 出版二十年後に

著者等紹介

長田俊樹[オサダトシキ]
1954年生まれ。ラーンチー大学(インド)Ph.D.取得。総合地球環境学研究所名誉教授及び神戸市外国語大学客員教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

へくとぱすかる

41
歴史の教科書でおなじみの記述で、定説のように思っていた「アーリア人の侵入」が、どんな経緯で唱えられるようになったのか。ヨーロッパの人々の、インドについての関心を歴史的に追及していくと、サンスクリット偏重という学問の態度に行きつく。比較言語学ではおなじみの「印欧語族」という用語が、印欧祖語を話していた民族という概念を生み出し、後にナチスに取り入れられたというから、言葉の一人歩きは慎重になるべき。著者が言うように、それが「印欧語『属』」ならば、結果は違っていたかもしれない。それが日本語の用語であっても同様に。2025/03/02

よっち

30
近代言語学の双生児「アーリヤ人」は、なぜこれほどまでに人々の心を捉えて離さないのか。言語学誕生の歴史からすべての起源インドに取り憑かれた近代ヨーロッパの姿を浮かび上がらせる1冊。ヨーロッパのラテン語・ギリシア語とインドのサンスクリット語に共通の祖となる、失われた起源の言語としてのアーリヤ人。インドでなくヨーロッパで発達してきたインド学、その背景となった東洋への憧憬、「アーリヤ人侵入説」の登場から台頭とヒンドゥー・ナショナリズムに至るまでの経緯に、言語学がいろいろ絡んでくるあたりがなかな興味深かったですね。2024/07/15

さとうしん

10
西欧での言語学の成立、あるいはインド・ヨーロッパ語族、「アーリヤ人」概念、「アーリヤ人侵入」説の誕生の経緯について。ダーウィンが言語学から影響を受けていたということや、考古学の立場から「アーリヤ人侵入」説に疑問を死すのに「言語学の暴虐」が持ち出されたという点を面白く読んだ。第Ⅴ章で展開されるインド学がテキスト偏重という問題や、補章で言及される固有名詞のカタカナ表記の問題などは中国学でもかなりの程度あてはまるのではないか。2024/06/19

Go Extreme

2
インド学の誕生: ウィリアム・ジョーンズと言語学の誕生 ベンガル・アジア協会とウィリアム・ジョーンズに対する評価 東洋への憧憬: オリエンタル・ルネッサンスをになった人々 印欧比較言語学の確立 アーリヤ人侵入説の登場: 系統樹説と印欧語族の故郷 マックス・ミュラーと「アーリヤ民族」 反「アーリヤ人侵入説」の台頭: インダス文明の発見と南アジア考古学の発達 1990年代以降の反「アーリヤ人侵入説」とヒンドゥー・ナショナリズム 私のインド体験: インド少数民族研究 私のムンダ語・ムンダ文化発見 出版二十年後に2024/08/23

プリン

1
「アーリア人侵入説」の見直しは不可避らしいと学んだ。2024/07/27

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