出版社内容情報
「考える」というのは人間だけに可能な営みなのか? そもそも「考える」とは、いったい何をすることなのか?――本書は、そんな根本的な問いに正面から取り組みます。
『考えるという感覚/思考の意味』というタイトルを見て、おや? と思うかたもいらっしゃることでしょう。本書の原題Der Sinn des Denkensには二つの意味がかけられている、と著者マルクス・ガブリエルは明言しています。一つは、「考えること(Denken)」とは、見ること、聞くこと、触ること、味わうことなどとまったく同じように「感覚(Sinn)」である、という意味。例えば、私たちは見ることでしか色には到達できませんし、聞くことでしか音には到達できません。それとまったく同じように、考えることでしか到達できないものがある――それが本書のタイトルに込められたもう一つの意味である「意味(Sinn)」にほかなりません。
「考える」とは「自然的現実と心理的現実のあいだのインターフェース」だと著者は言います。もっとくだいて言えば、私たちが現実と触れ合う、その接点に生まれるもの、と言い換えてもよいでしょう。その意味で、ガブリエルが「三部作」として構想した三冊のうちの第一作『なぜ世界は存在しないのか』(講談社選書メチエ)で扱われた「世界」と、第二作『「私」は脳ではない』(同)で扱われた「私」との接点に生まれるのが、「考えること」そのものなのです。私たちは、考えることで「かけ離れたいくつもの現実を結びつけ、それによって新たな現実を作り上げる」と著者は言います。つまり、考えるとは「結びつき」を作り、その「結びつき」を認識することです。
「ポストトゥルース」と呼ばれる現実が席捲する一方で、AIによって人間の知的な営みが奪われ、いつかは「考えること」そのものさえ人間には必要なくなるのではないかと考えさせられる今日、もう一度、原点に立ち返って考えること。本書をもって完結する三部作で、著者マルクス・ガブリエルは、人間にしか可能でない未来への希望を語っています。
[本書の内容]
序 論
第1章 考えるということの真実
第2章 考えるという技術
第3章 社会のデジタル化
第4章 なぜ生き物だけが考えるのか
第5章 現実とシミュレーション
本書のおわりに
内容説明
「考える」とは、いったい何をすることなのか?―答えは、本書の表題Der Sinn des Denkensにある。このタイトルはダブルミーニングだと著者は言う。「考える」とは見る、聞く、触る、味わうと同様に「感覚(Sinn)」であり、見ることでしか色には、聞くことでしか音には到達できないように、考えることでしか決して到達できないものがある、そしてそれが「意味(Sinn)」にほかならないのだ、と。『なぜ世界は存在しないのか』、『「私」は脳ではない』に続く「三部作」堂々の完結篇!
目次
第1章 考えるということの真実(無限の複雑性;考える?それはいったい何だ ほか)
第2章 考えるという技術(地図と領土;コンピューターは中国語ができるか ほか)
第3章 社会のデジタル化(論理的でしょ?;集合とのピンポンゲーム ほか)
第4章 なぜ生き物だけが考えるのか(ヌースコープ;魂とカードボックス ほか)
第5章 現実とシミュレーション(空想はスマホと出会う;避けられない「マトリックス」 ほか)
著者等紹介
ガブリエル,マルクス[ガブリエル,マルクス] [Gabriel,Markus]
1980年生まれ。哲学者。現在、ボン大学教授。後期シェリング研究をはじめ、古代哲学における懐疑主義からヴィトゲンシュタイン、ハイデガーに至る西洋哲学全般について多くの著作を執筆。「新しい実在論」を提唱して世界的に注目されている
姫田多佳子[ヒメダタカコ]
津田塾大学国際関係学科卒業。五年間のドイツ滞在時にドイツ語を習得。以来三〇年間、学術論文等の翻訳に従事
飯泉佑介[イイズミユウスケ]
1984年、千葉県生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。現在、福岡大学人文学部准教授。専門は、ドイツ観念論・現代実在論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まゆまゆ
エジー@中小企業診断士
ケルトリ
shin_ash