出版社内容情報
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村山由佳氏 絶賛
ラストの情景はぴたりと見事に着地が決まって、これしかないという美しさだ。
ひとは、こういうカタルシスを覚えたくて物語を読むのだろう。
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凄絶な愛の物語。
父が壊した女。それでも俺は、あの女が描きたい――。
【内容紹介】
若き日本画家・竹井清秀は、病で死が迫っていた。
ある晩、緊急事態が起きたと連絡を受け、
絶縁していた天才料理人の父・康則のマンションへ向かう。
目の当たりにしたのは、父の死体。
そして、全裸の少女。
彼女は、康則によって十一年間ここに閉じ込められていた――。
芸術と愛、その極限に迫る圧巻の衝撃作。
内容説明
若き日本画家・竹井清秀は、病で死が迫っていた。ある晩、緊急事態が起きたと連絡を受け、絶縁していた天才料理人の父・康則のマンションへ向かう。目の当たりにしたのは、父の死体。そして、全裸の少女。彼女は、康則によって十一年間ここに閉じ込められていた―。芸術と愛、その極限に迫る圧巻の衝撃作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
相田うえお
77
★★★★☆24121【人でなしの櫻 (遠田 潤子さん)】いや〜いつもながら強烈なインパクトのある作品でした。登場するどの人物も常識の枠からはみでた様な異端な人物ばかり。その突出した行動は普通の物差しでは測れません。日本画家の男性(主人公)は母親に殺されかけた過去があり、また、父親を嫌って一人暮らしをしています。その父親が死亡したとのことで行ってみると父親は少女を監禁していた事実が判明。当時8歳だった少女は19歳になっていて、なんと11年も監禁状態。アブノーマルな独特の雰囲気。当方の心は粉砕されました。2024/12/08
エドワード
31
日本画家の竹井清秀は、カリスマ料理人の父・康則に作品を認められず、音信不通だった。そこへ緊急事態、駆けつけると、康則の死体と、裸の少女がいた。少女・蓮子は8歳の時に康則に誘拐され、11年間監禁されていた。何とも異常な事件だ。しかし、今度は清秀が蓮子に魅入られ、二人で日本海に面した家で逃亡生活を送る。清秀は病魔に侵されながら、ひたすら蓮子を描き続ける。芥川龍之介の「地獄変」に通じる、驚くべき画家の執念。蓮子の無垢さがかえって不気味でもある。清秀の死後、彼の個展が開かれ大盛況とは何たる皮肉だろうか。2025/04/11
APIRU
9
人でなしの少女と人でなしの画家の、美しく醜く、狂気染みていてそして果敢ない物語であったと思います。亡父が11年間監禁していた裸の少女を、男は拐かし、番い、世間の目を逃れながら、憑かれたように彼女の絵を描いてゆく。堕落と頽落。恋慕とも畏怖とも忌避とも慈悲とも違うような、或いはその全てでもあるような、歪で純粋な結びつきに思えました。およそシンパシーを覚えるような二人ではなかったのですが、容易く同調できないからこその「人でなし」であると言えるのでしょう。現れる人たちはみな、少なからず人でなしに映ったものでした。2024/05/22
MIHO
5
父子の話で櫻図がモチーフなので、長谷川父子になぞらえた何かが出てくるのかなと思いながら読んでたがそうでもなかった。そしてあれはストックホルムと言うよりはグルーミングでは⁉︎と言いつつ読み応えはありました。腥いって漢字知らなかった。2024/04/28
suicidal_genes
4
カバー装画とタイトルに惹かれて完全なジャケ買い。遠田潤子さんの作品は初読ですが、とにかく感情表現の激しさに圧倒されて息も絶え絶え一気に読了。誤解を招くことを覚悟で敢えて言うと、もしこの物語の作者が男性だったらあまり気持ちの良い作品ではないという感想を持ってしまったかも知れない。登場する二人の女性の行動があまりにも男に都合よく描かれているような気がして。だからと言って作者が女性であることで少し救われたような気分になる自分自身も何か違うように思う。魅力溢れた小説なんだから素直に楽しめば良いのに。2024/05/24