出版社内容情報
ホスピスで起きた3件の不審死。沈黙を貫く医師が抱える真相とは?
救うべきは、患者か、命か――。
『闇に香る嘘』『同姓同名』の著者渾身、“命の尊厳”に切り込む傑作医療ミステリー!
「先生は、患者を救ったんです――」
末期がん患者の水木雅隆に安楽死を行ったとして、裁判を受ける天心病院の医師・神崎秀輝。「神崎先生は私から……愛する夫を奪っていったんです…!」証人席から雅隆の妻・多香子が悲痛な声をあげるも一向に口を開こうとはしない。そんな神崎には他にも2件、安楽死の疑惑がかかっていた。患者思いで評判だった医師がなぜ――?
悲鳴をあげる“命”を前に、懊悩(おうのう)する医師がたどり着いた「答え」とは?
“安楽死”をテーマに描く、乱歩賞作家渾身の医療ミステリー!
内容説明
ホスピスで起きた三件の不審死。末期がん患者に安楽死措置を行ったとして、医師の神崎が裁判にかけられる。患者思いで評判だった神崎には、他の二件についても疑惑がかかるが、裁判では徹底して沈黙を貫く。そこには、懊悩する医師が辿り着いた、ある「答え」があった。乱歩賞作家渾身の医療ミステリー!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
32
末期がん患者の水木雅隆に安楽死を行ったとして、裁判を受ける天心病院の医師・神崎。悲鳴をあげる命を前に、懊悩する医師がたどり着いた安楽死をテーマに描く医療ミステリ。証人席からの悲痛な声にも一向に口を開こうとはしない神崎が行ったとされるホスピスの3件の不審死。延看護師の苦悩、命を望まれない患者、告発した医師、もう一つの告白など、それぞれの側面から描かれる事情と意外な真相、そしてホスピタルケアで直面する葛藤を浮き彫りにしていて、なかなか重い命題に意外な答えを提示してみせた結末がまた印象的な物語になっていました。2024/04/15
すたこ
18
★★★★勝手に開催していた下村敦史祭り4作目。重い…。重すぎて、1章1章休みを入れながら読んだ。どんなに考えても答えが出せない安楽死問題。かなりの読み応えで疲れた。もしも家族が病に侵され痛みに耐えられず苦しみ、死を望んだら…わたしはどうするだろう?どうしたいだろう?家族はどうしてほしいたろう?想像しただけで胸が裂ける思いだ。難しい。2024/11/19
left7
12
下村さんの安楽死をテーマにしたヒューマンドラマよりのミステリーです。安楽死を望む人やそのご家族関係者にも色々な人がいるということを感じましたし、その是非を真剣に議論する時期に来ているかなと思いました。望む本人はもちろん家族や関係者や携わる医師や医療従事者の全員が納得することは難しいテーマですし、特に医師や医療従事者の苦悩は今まで想像できていなかったのでとても勉強になりました、やはり、下村さんにはこのような社会問題等を扱った作品を今後も書いて頂きたいです。2025/05/06
FUKUIKE
12
★★★★☆ 重いテーマで読み応えある作品だった。必ず訪れる"死"についていろいろ考えさせられた。読後、病気になってからではなく元気なうちに、最期をどう迎えたいのか家族で一度じっくり話し合っておく必要があると思った。2025/01/17
汲平
8
安楽死について真正面から取り組んだ社会派ミステリ連作短編集。3人の患者を安楽死させたとして訴えられたホスピスの医師。彼を訴えた医師。2人の間に立つ看護師。誰もが苦しい。患者やその家族だけでなく、毎日診察し看護する彼らも苦しみ、悩んでいるのだ。医療とは、生命とは、尊厳とは。その立場になったら自分はどんな選択をするだろう。素晴らしく読み応えのある、考えさせられるミステリ作品でした。2024/09/04
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